手違い
メインではカクヨムに投稿している者です。ユーザ名も同じなので、早く次が読みたい方はそちらをどうぞ宜しく。
まだぺんぺん草も生えない冬の終わり、学生たちは、世間より冬の辛さを知るころ。15歳だった八幡真琴も年頃らしく、終わりの見えない冬と、変化の春を恐れていた——。
◇
「うぇーい!アーメン!ソーメン!生◯ーメン!」
長き冬は思いのほか一瞬で終わった。彼女は寺生まれ、陰陽師の父を持つ。にも関わらず、
ある手違いからキリスト教主義学校に入学してしまった。
はじめこそ清楚極まりないお嬢様雰囲気の強い校風だったものの、彼女が巻き起こした自由の旋風が春の不安を抱えていた同級生達を惹きつけ、今では学年中でカリスマ的人気を誇っている。
変化を好む大人たちや、一部の生徒は、彼女を問題児扱いしたが、彼女は自分の芯を曲げずに、予想外ながらも始まった新し過ぎる生活を大いに楽しんでいた。
購買の菓子パンを頬張りながら、彼女の親友、神園黄凛はかつての気品もみられず私の回想を勝手に語り出す。
「コラ!黄凛ちゃん!やめてよ恥ずかしい!」
気に留めない様子で黄凛は話を続ける。
「真琴は、お寺生まれなんだよね?なんか霊とか見えるの?バァーって」
酔っぱらった様なテンションでまた私について聞いてきた。さてはまた徹夜で推し活をしていたな。
彼女との出会いは、入学初日、黄凛は高校から入学した同級生に、使命かの様に、一人一人声をかけていた。
彼女はこの学校の幼稚部から通っていて、先生たちからの評価も高い模範的な学級委員だった。同級生からの人気も強く、次期生徒会長への期待もされていた。
はじめて話したとき、初見にしては高圧的な態度で話しかけてきた。
私ははっきりとモノを言う人が好きなので、
仲良くなりたい一心で、必死に自己紹介をした。黄凛が注目を浴びていたのもあって、私は一躍人気者へと成り上がった。
それから、彼女は私にべったりくっついてくる親友になり、かつての大人達からの信用も夢の跡になった。カリスマ的人気も今や私のモノになってしまった。
まさに諸行無常※だ。
いつも質問責めにしてくる黄凛に冗談で答える。
「モチロン見えるよ!あっホラ!黄凛ちゃんの後ろにほらァァ(笑)」
「もぉぉ。やめてやぁ、幽霊苦手なの!そんなこと言って幽霊が怒ったら、真琴ちゃんが守ってよ!」
頬を膨らせて言う。
顔を見合わせて私たちは大笑いした。
※諸行無常とは、この世にあるすべてのものは常に変化し、永遠に変わらないものはないと言う仏教の教えである。




