第6章 9話
「ここがお前が死に場所だ」
地面にペケ印を書く。
くっ。
どうやら僕の推理は当たってるようだ。
氷室の能力には、死を見る事が出来るんだ。
だから、あんなにハッキリとした言葉が出るんだ。
という事は。
まず間違い無く僕は死ぬって事か。
いや。
ギリギリまで抗ってみせる。
そんな簡単に死を受け入れてたまるか!
ようはあの印に近づかなければいいんだ。
それぐらいなら僕でも出来る。
「無駄な事だ」
氷が束になって飛んで来る!
くっ!
「火の精霊よ!」
なんとかこれで対抗するしか無い。
だが、いかんせんパワーが足りない。
こうなったら、時間を稼いで美喜子と林道さんが復活するのを待つしか無い。
治るまで時間がかかるか分からないが。
僕に出来る事はそれぐらいしか無い。
本当は僕が治すべきなんだろうけど。
今は氷室で手一杯だ。
そこまでの余裕は僕には無い。
「いくらやっても決まっている事だ」
そんな事は無い!
僕はなんとか避けつつ、時間を稼ぐ。
氷室は大きく回り込む。
後ろか!
「土の精霊よ!」
土の壁を作る!
だが、これだって1回ぐらいしか効果は無い。
あっという間に崩れ落ちる。
「運命とは残酷だと思わないか?」
「なんの事だ?」
突然、何を言い出すんだ。
「これまで、幾多の人間が私の前で無駄な行動をした。だが、みんな最後には死んだ」
?
どういう事だ?
まさか。
氷室は、本当は死が嫌いなんじゃ?
何か、悲しい過去がある気がする。
「私もそして、お前も無駄な行為をしていた事になる」
僕も?
「あっ!」
しまった!
あんなに印に注意していたはずなのに!
僕の真下には、氷室の書いた印があった。
まさか。
「やはり。予告通りに死ぬ」
なっ!?
僕の真上には、凍った氷柱がいくつも。
こんなに、いつの間に!?
「おまえが逃げ回っている間に作っておいた。それだけの数、避ける事も防ぐ事も出来まい。やはり運命は決まっていた」
そんな。
「終わりだ」
次回更新は1月30日(月)予定です。