第5章 14話
氷室は私達を置いて、どこかへと行こうとしている。
「くっ!待ちなさい!!」
「待つのは美喜子の方だ。まずはあれをなんとかしないといけない」
確かに。
こうしている間にも核ミサイルはどんどんと上空へと飛んでいく。
「でも、どうやってここへ?」
そう。
どこか遠くへ落とすというならともかく。
わざわざ打ち上げて、ここへ落とすなんて。
「おそらく、あのミサイルの先端に核があるんだろう。だいたい核ミサイルってのはそういう構造になってるもんだ。そしてその先端を地面にぶつけて、その衝撃で核のエネルギーが爆発するという仕組み。その為の必要な高度まで上がりきったら急激に角度を変えてここに落とすんだろう」
つまりは、今はその猶予の時間。
それまでになんとかしなければならない。
どうすれば。
あっ!
「ねぇ。美喜子さんの瞬間移動でなんとか出来ません?」
美喜子さんの瞬間移動はかなり便利。
こういう時も役に立つはず。
「いや。それがそうもいかない」
「え?」
どういう事?
「美喜子の瞬間移動は一日3回が限度だ。それ以上は使う事が出来ない。そして、今日ここへ来る時にすでに1回使っている」
そうなると。
まずはあのミサイルに追いつくのに1回。
そして、あのミサイルを安全な所に飛ばすのに1回。
確かに戻って来る分が無い。
「しかも、物を飛ばす時は美喜子も一緒に飛ばないといけない。そうなると、ますます瞬間移動には頼れない」
そうか。
核ミサイルを安全な所に飛ばしたとしても。
今度は美喜子さん自身が危険になるという。
どうすれば。
こうしている間にも、どんどんと上空へと消えていく。
「ん?待てよ。核ミサイルとはいえ、あれはジェット噴射だよな?」
「え?えぇ、ロケットと同じ、燃料を燃やしてその勢いで上げるものですから」
「よし!それならなんとかなる!!」
えぇ!?
一体何を?