第4章 6話
こっそりと様子をうかがう。
「何やってんの?」
「さあ。なんか壁を破壊しようと頑張ってるって所だけど、なんで破壊しようとしてるのかまでは分からない」
確かに。
頑丈そうな壁をダイナマイトみたいな物で壁を破壊しようとしている。
何故?
「くっ!もっと大量に持って来い!」
「はっ!」
ん?
あれ。
軍服?
「何処の国の軍なのかしら?」
「う~ん。僕はそういうのには詳しく無いから断定は出来ないけど。あれは間違いなく日本人だろうね」
「え?」
「いや。だって美喜子も今の会話を聞いただろ?」
あっ、確かにそう言えば。
普通に聞こえた。
「あれ?日本語ってそんなに広まってないの?」
「英語は色んな国で使えるけど、日本語は日本ぐらいしか使わないだろうね」
確かに日本語は難しいなぁ~と思う時はあるけどね。
あれ?
それでも変ね。
「なら、なんで日本人がここに?」
「それは分からない。でも日本人ならここに二人いるだろ?」
私達の事ね。
でも私達はちゃんと目的があってここに来ている。
なら、あいつらは一体?
「あっ、また大量に持って来たわね」
「どうもあの壁の向こうに何かあると確信してるんだろう。何処かで地図でも手に入れたのかな?」
確かに。
初めて来る場所の壁の向こうなんて、普通気にしないもんね。
ドォオン!!
くっ。
また凄い爆音ね。
「くっ。傷一つつかないだと!?どうなってるんだ」
「いかがいたします?」
「アレを持って来るんだ!!」
「え!?まさか」
「いいから!早く!!」
やはり、あの壁に執着している。
あんなに必死になって、あの向こうに何があるって言うのかしら。
カチッ。
かちっ?
なんですぐ側でそんな音が?
「立て!どこから迷いこんだか知らないが。見たからには無事で帰れると思うなよ!!」
後ろには。
銃を構えた兵士が立っていた。