第4章 4話
「なるほど。これまでの経験からして、あそこが目的地であるのは分かる。問題はどうやって行くかだな」
う~ん。
「私の瞬間移動は?」
「まだどこにあるか、正確な場所が分かってない。それに今日はここに来る時点で使ってる。あまり無駄には使いたくない」
確かに私の瞬間移動は一日に3回しか使えない欠点がある。
もし飛んだ先に何も無かったら。
最後の瞬間移動を使うはめになる。
なるほど。
そう考えると無駄には使えないわね。
先の事まで考えてるわね。
私はどうも目先の事しか考えて無いわ。
「それに。どうせ何か行く条件みたいのがあるんだろう。ストーンヘンジの時もそうだったし」
「あっ、そうか。この矢印も太陽の動きと関係あるもんね。かと言ってまた日没だと困るんだけど」
何せ明日は始業式。
学生の身としては欠席する訳にはいかない。
「いや。たぶん大丈夫じゃないかな」
え?
「どういう?」
「ほら。太陽がちょうど真上に登ろうとしている」
あっ、本当だ。
すると。
例の雲の所にかかろうとしている。
それをじっと見守る。
うん。
やっぱり私には健一が必要なんだなぁ。
後先考えずに行動する事が多い私。
だけど健一のおかげでだいぶ助けられている。
冒険をするようになってからは特に。
「!?美喜子!!」
え!?
突然、吉矢が私の手をつかむ。
なっ何!?
「え!?」
次の瞬間。
私達は見たことも無い草原の真ん中に立っていた。
「こ、これは?」
「おそらく、ここが空中都市なんだろう」
空中都市?
「何それ?」
「色々とお話はあるけど、一番有名なのはジョナサン・スウィフトのガリヴァー旅行記だろうね」
「え?それって、確か小人の国のお話じゃ?」
「それは4つある話の一番最初のお話だね」
へー。
4つもあるなんて知らなかったわ。
「その中で空中都市ラピュータの存在がある。これもそうなのかは知らないけれど、間違いなくここは空中都市だ」
「へー。その根拠は?」
「根拠?それはあれだよ」
そう言って、横を見る。
?
「あっ!」
そう。
遠くの所にそれはあった。
そこには草と同じ高さなのに、雲の塊があったからだ。
地上ではありえない光景。
なるほど。
少なくとも、ここは雲と同じ高さって訳ね。
「でもあんなにハッキリ見えるなんて」
「おそらく、ここの技術の一つだろうね。本当は水蒸気の塊だからあんなふうには見えないんだけど」
ふーん。
よく分かんないけど。
また、とんでもない所に来たのは間違いないわね。