第3章 12話
戦い初めて約5分。
僕はある事に気づいた。
「美喜子!林道さん、一旦下がって!!」
僕は二人を下がらせる。
「?どうしたの?」
美喜子は不機嫌そうながらも下がっている。
「変だと思わないか?」
「え?」
やはり戦ってる本人は分かって無いみたいだ。
「だって、美喜子の能力は鉄も曲げれるほどの力がある。普通の生物なら1撃でも死んでいるはずだ。なのにあの恐竜には何発攻撃している?」
そう。
あれは普通じゃない。
いや、恐竜の時点で普通じゃないんだけど。
とにかく、凄いスピードで傷が回復してるのは間違いない。
どんなDNA操作してるんだ?
「なるほど。あの敵の情報を得なくてはいけないんですね」
「そういう事だ。林道さんにはかなり危険な役目をしなくてはいけないけど」
触れるほど近づくってのは、僕の想像以上だ。
美喜子は元々空手を使うから、それを覚悟しているけれど。
林道さんは武器を使ってる。
その武器の間合いよりも近づくってのは、それだけで危険だ。
それぐらいは僕でも分かる。
「大丈夫よ。私が動きを止める」
美喜子も危険な役目を引き受ける。
「林道さん。一気に触れてくれないか?美喜子の能力の欠点は長時間持たない事だ。おそらく10秒も持たない」
だから、一気に行うのが好ましい。
「分かりました」
「よーし、やってやるわよ!」
まずは二人一緒に走る!
恐竜も向かって来ている。
だけど。
僕の風の精霊の力で、だいぶ動きは鈍くなっている。
僕の力ではこれぐらいが精一杯だ。
なにせ長所といったら、遠距離でも使えるぐらい。
あとは見守るぐらいしか出来ない。
「はっ!」
美喜子が恐竜のアゴを狙う。
一気にアゴまでジャンプしている。
さすがにアゴを狙われては、恐竜の動きも止まる。
美喜子の狙いはこれか!
自分の能力を知り尽くした上で、最善の行動を起こしている。
すかさず、林道さんが恐竜の足に触る。
一歩間違えば、蹴りをくらってもおかしくない。
だけど、それを美喜子が防いでいる。
アゴを狙われ、体制が崩れている。
こういう時は自然と踏ん張るために、足に力を入れる。
その為、逆に足下は安全とも言える。
「これは!?」
次回更新は12月5日(月)予定です。