第3章 4話
船による旅が始まった。
さて。
「美喜子。ちょっといいかい?」
「?どうしたの?突然」
僕はこれから起こるかもしれない問題を、今のうちに解決した方がいいかもしれない。
「実は、この旅が終わる頃には両親は帰ってくるだろう」
「そうね。そんなに長い間じゃないもんね。それで?」
「それでじゃない!両親が帰って来るって事は、夏休みも終わりが近いって事だ!!」
そう。
それが問題。
両親は上手い事誤魔化せばいい。
どうせ僕達の事を将来結婚すると本気で思ってるんだし。
二人で何泊もする旅行に行った所で、それほど心配はしないだろう。
だけど、学校はこうはいかない。
きちんと出席しないといけないし、課題もやらないといけない。
「うっ、そうね。学校の問題があったわね。私は別に勉強の為に行ってる訳じゃないから、まだいいにしても、健一の方が問題ね」
美喜子はその運動能力を買われて入学したから、勉強中心って訳では無い。
だけど、僕は普通に受験に受かって入った。
それに二人とも、出席日数が足らなかったら留学する。
いや。
今回の旅がまだ3個目の旅だと考えると、もっと大変な目に合う。
まだあと10個も探し求める旅をしないといけない。
ハッキリ言って、日帰りで行うというのは無理がありすぎる。
かと言って土日の2日間だけで終わるかと言うと、それも保証は出来ない。
ピラミッドの時やストーンヘンジの時だって、かなり時間がかかっている。
それを考えると、学校の問題を解決しないといけない時期に来ている。
僕達の夏休みは、もうすぐ終わろうとしているからだ。
まだ夏休み中はいい。
夏休みの課題も、やり終えたと言っていいほどに片付けた。
これも、夏休みが始まった辺りから集中的にやったおかげだ。
でも。
夏休みが終われば、また学校へと通う日々が続く。
これだけはなんとも出来ない。
僕達は、学生なのだから。
「困った」
「確かに、困ったわね」
もしかしたら。
水晶のドクロを手に入れるよりも困った問題かもしれない。