お届け物
一週間後、ハーヴェイさんにお願いしていたいすが完成した。設置はユージーンが買って出てくれたので、四人でイヴさんのお宅を訪ねている。ユージーンとライリーはいすの設置、私とイスラは体調の確認と説明だ。
「――というわけで、こちらのレシピをお届けにあがりました。それから、日中は少しでいいので外に出て、日の光を浴びてください。どうしても坂が多いので、転倒には気を付けてくださいね」
「日光を……」
一通りの説明が終わったあと、イヴさんはそう呟くとわずかに目を伏せた。
「……もしかして、日光がお体に障りますか?」
「えぇと、実は……。日差しの強い時期は、外に出て何かするとすぐに肌がかゆくなってしまって……。天罰なのかしら、と思って神官さまに清めていただいてるのだけど……」
いわれてみれば、イヴさんの肌はとても白い。美白の価値観があって焼かないようにしているとか、あまり日焼けをしない体質なのかとか考えていたが、体質だったのか。
「十分だけでも出られませんか?」
「あぁ、そのくらいなら平気です。二時間外に出ていると、そうなってしまうのだけど」
そう言いつつも、不安そうな表情はそのままだ。日傘や帽子をかぶっていても効果があるのかは私にも分からないため、代替案を提案するのがいいだろう。
「では、ヨーグルトを食べるようにしてみてください。乳製品を意識して食べるだけでも、だいぶ違うと思います」
「そうなのね、ありがとうございます」
イヴさんが頭を下げる。足が治ったのでと立ち上がろうとしているが、妊婦さんであることは変わらないので、座ってくださいと手で制す。
「ところで、あなたたちはどうしてここまでしてくださったの?」
イヴさんが首をかしげる。
「イヴさんが妊娠なさってるからです」
「妊娠……?」
「イヴさんの不調は、赤ちゃんの不調にも繋がってしまいますから」
イスラも頷いて、「本当にお気を付けくださいね」と話を引き継ぐ。
「今回は違いましたけれど、お腹の赤ちゃんには病魔も乗り移りやすいんです。特にお薬での療法は悪影響に繋がりかねないので、体調には充分注意してください」
イヴさんが「分かりました」と頷いたところで、ユージーンとライリーが中に入ってきた。設置は完了したらしい。
「ライリー君、気づいてくれてありがとう。きっとこの子も、あなたにありがとうって言ってると思うわ」
ライリーは照れながら「いや、全然、オレは……」と頬をかいている。イヴさんに「あなたのおかげよ。ありがとう、お兄ちゃん」と言われ、ようやく嬉しそうに笑う。その顔は、今まで見たどんな姿よりも成長していた。
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読んでくださってありがとうございます。
現在更新時間が安定していませんが毎日更新できるように頑張ってまいります。




