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異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第七章
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原点

 翌日、ユージーンと厨房に立つ。イスラとライリーはイヴさんを訪ね、私とユージーンは対策レシピの開発だ。


「さて、今回はどうする? ビタミンDとカルシウム、だったか。どう入れる気だ?」

「ビタミンDはサーモンやサバなどの魚に含まれているんですが、イヴさんの普段の食生活は菜食よりなので、ちょっと厳しいかもしれません。なので、マッシュルームを使います」


 材料を並べる。マッシュルーム、タマネギ、アスパラ、チーズ、そしてヤマイモ。ホワイトソースの代わりにヤマイモで作る、代替食きのこグラタンだ。


「ユージーン、さっそく力仕事です。このヤマイモをすりおろしてください」

「おう、任せろ。半分くらいでいいか?」


 お願いします、と返事をして食材を切り始める。


「本当はたまごも使えると、栄養価は高くなるんですけどね」

「たまご、万能だな……」


 たまごは本当に万能だ。何より味も優しいから、いろんなところに入れやすい。焼いても茹でても溶いてもいい。


「ビタミンDはマッシュルームで、カルシウムはチーズで補います。力仕事があるとはいえ、使用人の方がおられるようなので大丈夫でしょう」

「ダメだったら?」

「その時はもう、小麦粉を買ってもらうしかないですね。安いものではないですけど、仕方がないです」


 そうか、と芋をすりおろし続ける。


「お前、小麦粉使ったことあんのか」


 ストン、と包丁がまな板に当たる。ありますよ、と答えて「あぁそうだったな」と返ってくる。こういう時、冗談半分でもちょっとした経緯を話せたのはよかったなと思う。


「小麦粉、よく使ってましたよ。パンにケーキにホワイトソースに……まあ色々です」

「そうか、金持ちだったのか?」

「そういうわけではありませんよ。普通の家庭です、小麦粉の希少価値の方が下がってたんですよ」


 材料を切り終わる。ユージーンの方も終わったようなので、タマネギを炒める。


「お前、友だちいたのか?」

「……え? 私、今ケンカ売られました?」

「あっ、ちげぇわりぃ! そういう意味じゃねえ、普通に仲の良かった子とかいなかったのかって話だ!」


 そういうことか、と安心する。人間性を疑われているのかと思った。安心ついでにアスパラとマッシュルームを加えて炒める。


「そりゃもちろんいましたよ。友だちのおかげで今、私がこのグラタンを作ることができているといっても、過言じゃありません」

「なんでだ?」

「仲の良かった子が、無理な食事制限をしまして。なんとか健康的になってほしいけど、脂っこいものや量の多いものは食べられない……そんな時に、効率よく栄養を摂取する方法を考えて、栄養素やレシピを調べたんです」


 いまだに覚えている。どんなものもひと口食べるだけで泣きそうな顔をしていた友だちが、私の料理で笑ってくれたこと。それ以来、私は誰かのために作る料理を好きになったのだ。


 具材とすりおろしたヤマイモを耐熱の器に入れて、上からチーズをかけて焼く。試食しても、味はあっさりめで食べやすい。イヴさんの口に合えばいいんだけれど。


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