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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百九十八 SANA編 「この子たちの親で」

七月四日。月曜日。雨。




昨日に引き続いて雨。なんだかようやく梅雨らしくなった気がする。でも、台風が近付いてるらしいからその影響が出てるだけなのかな。


それはさておき、通信障害の方は、一応、対策は済んだとアナウンスはあったものの繋がりにくい状態は続いてるらしくて、波多野さんも田上たのうえさんもやっぱりWi-Fiを通じてアプリでやり取りしてるそうだ。『SANA』の本社には、業務用の回線は有線のみだけど、それとは別の通信会社の回線でWi-Fiも引いてて、そっちは、短時間なら私的利用もOKという形になってて。と言うか、お客が利用できるようにするために設置したと言った方がいいのかな。会員登録したら使えるWi-Fiってことで。


もし、業務用の回線がダウンした時には、そっちを使って緊急の連絡を取るためのものでもある。この辺りは星谷ひかりたにさんの提案で導入したものだ。海外だと回線が不安定なところもあって、そういうところでは二重三重に対策しておくのが当然なんだって。日本では、停電のこともそうだけど今回ほどの大規模なトラブルは本当に滅多にないからついつい油断しがちだというのを改めて思い知らされたな。


だとしたら、大規模停電だって『絶対にない』とは言い切れないと考えるべきなんだろう。


でも、それはそれとして、今日は涼しかったこともあったから、雨は降ってるけど散歩に行ってきた。雨が降ってるのを見た玲緒奈れおなが外に出たがったんだ。これも予測してて、カエルをデザインしたレインポンチョを用意してて、


「カエルさんだよ」


言いながらレインポンチョを見せると、


「おーっ!」


玲緒奈は嬉しそうに興奮して、僕が着せてあげようとしてる間も、


「パパッ!。パパッ!。どるるるあっ!」


待ちきれないらしくて急かしてきた。そしてレインポンチョとおそろいの長靴も履いて、それこそ『カエルの着ぐるみを着た赤ちゃん』って感じになって、でもやっぱりしっかりと子供用ハーネスも使って、雨の中、散歩に出る。


「あーめ!。あーめ!。ぶるるるる!!」


しとしととした感じの雨の中、玲緒奈はまた『謎の歌』を歌いながらぐいぐいと前に進んだ。この生命力溢れる様子に、僕も頬が緩んでしまう。


大変な世の中ではあるけど、そんな大変な世の中にこの子を送り出してしまった張本人として、ただこの子の命に向き合いたい。それは、まさしく親である僕の特権だ。この子の命をこの特等席で見続けることができるんだよ?。こんな素晴らしい話もない。


沙奈子の命だけじゃなく、玲緒奈の命とも向き合えるなんて。


ああ、この子たちの親で本当に良かった。


つくづく思う。



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