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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百九十二 SANA編 「正義のつもり」

六月二十八日。火曜日。晴れ。




六月ももうすぐ終わり。やっぱりいまいち梅雨らしい梅雨じゃない印象かな。電力供給が逼迫してることもそうだし、水不足が懸念される気もするしで、油断できない状態にはありそうだ。特に、万が一にも停電とかあってエアコンが止まったりした時に備え、


「裏にまたあのプールを用意しておこう」


ということになった。停電してる間、水浴びして暑さを凌ごうという話になったんだ。それはもちろんお風呂でもできることだけど、ほら、プールならさらに『遊び』という感じにもできるから、気を紛らわすにもちょどいいかもだし。


「ですね。そのくらいしか対策はない気もします。もちろん、冷凍庫には水を凍らせたペットボトルも常備してますけど」


絵里奈が言うように、うちでは、空いたミネラルウォーターのペットボトルに水道水を入れて冷凍庫で凍らせているんだ。散歩に出る時なんかにはそれを持って、濡らしたタオルを冷やしたりもしてる。停電の時にそんなものがどの程度あてになるかは分からないにしても、できることはしておこうと思う。


もしかすると、住宅用の蓄電池とかを備えるという方法もあるかもだけど、今のこの家をそれに対応できるようにするにはやっぱりそれなりの出費も必要になるだろうから、今の時点ではまだ現実的とは言い難いかな。『いざという時の備え』についても、それぞれの事情に合わせたものでいいんじゃないかなって感じるし。


そんなこともありつつ、僕たちは平穏に過ごせてる。『SANA』の方も順調だ。あれ以来、勝手に押しかけてくる人は今のところいない。ただ、最初に事前の申請もなく見学を希望した人は、たくさんの批判を浴びたこともあってか、アカウントを削除してしまったらしい。


僕はそれが残念だった。確かに迷惑行為であったことは否定しないにしても、それはあくまで『SANA』とその人との問題であって、同じようなことをしないでいてくれたらそこで終わりにしてよかったんだけどな。その人を批判してたのは、どうやら同じ『SANA』のドレスのファンだけじゃなくて、騒動に便乗しただけの人もいたみたいだ。


本当にどうしてそんなことをするんだろう……。


それにもし、今回のことがきっかけになってその人が『SANA』のドレスを嫌いになったりしたら、そもそも『営業妨害』にだってあたる可能性もあるよね。迷惑行為を非難するために迷惑行為をするというのも意味が分からないよ。正義のつもりなのかもしれないけどさ。


だからこそ残念だ。



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