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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百八十七 SANA編 「殺伐とした環境に」

六月二十三日。木曜日。晴れ。




『イジメはイジメられる側にも問題がある』とか言っておきながら、自分が他の誰かを攻撃しておいて何か被害を受けたら被害者ぶる人って、本当に自分勝手なだけなんだなって思う。


だから僕はそういう人のことは信頼しない。加えて、他の人が何か事件を起こした時に、ここぞとばかりに攻撃するような人もね。


そして、僕自身が攻撃的にならないように気を付ける。だって、『類は友を呼ぶ』から。攻撃的な人の周りには、結局、攻撃的な人が集まるんだと思う。


千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんが今も僕たちと一緒にいられるのは、二人が攻撃的であることをやめようとしてるからだと感じるんだ。と言うか、そうじゃなかったらきっと縁遠くなってただろうな。


何より、千早ちゃんや結人くん自身が、僕たちみたいな人間のことを鬱陶しがって離れていったんじゃないかなって気がするんだ。僕たちみたいなやり方はまどろっこしくて。


確かに、怒鳴って叩いて自分に従わせようとするのは手っ取り早いし楽なんだろうなって感じるよ。だけどさ、『その方が手っ取り早くて楽だ』って感じる手段を安易に取ろうとするということ自体が、その人の『心の弱さ』を表してるようにしか思わない。手っ取り早くて楽な手段に頼ろうとするのは、結局、心が弱いからだよね?。忍耐力がないからだよね?。


我慢強さとかを礼賛するクセに自分は手っ取り早くて楽な手段に頼ろうとするとか、どう考えても矛盾してるとしか思えないけどな。


しかも、そういう自分の矛盾を指摘されるとキレたり詭弁を並べて正当化しようとしたりなんて、そんな態度のどこを信頼すればいいのかまったく分からないよ。


ただ同時に、人間っていうのはどうしても矛盾を完全には解消できない生き物だってことも、理解してる。僕自身、自分でも気付いてない矛盾だらけだと思う。でも、だからこそ、そういう自分の矛盾そのものについては受け止めなきゃいけないと思ってるし、それを受け止めるのなら、他の人を強く攻撃するなんて真似はできないよね。


千早ちゃんも結人くんも、今ではそれをわきまえてくれてるんだって分かる。それのおかげで誰かを攻撃せずに済んでるし、攻撃的じゃないからこそみんなと一緒にいられる。


他者に対して攻撃的な人は同じように攻撃的な人同士で集まったりもするとしても、僕はそれを羨ましいとはまったく思わないし、沙奈子たちにもそうなってほしくない。こうやってお互いに労わることができてホッと安らげる環境があるのにわざわざ殺伐とした環境に移る必要もないはずなんだ。



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