二千百八十一 SANA編 「意図を感じて」
六月十七日。金曜日。曇り。
『子供用ハーネス』に対して口出ししてくる人たちは、ベビーカーに対しても否定的な見方をしてる人が多いような印象がある。もちろんそれはただの印象に過ぎないから何の根拠もないとしても、とにかく、
『昔はこうだったから!』
というのを根拠にして否定してるという点では同じだと感じるんだ。
ベビーカーを使うことに対しても、
『昔の親は抱っこ紐を使ってた!』
みたいな言い方をするのが多い印象があるけど、その抱っこ紐でも『事故』が発生してることについては不思議と触れようとしない。これも、子供用ハーネスを批判する人と同じ。子供用ハーネスも正しく使わないと危険なのは事実でありつつ、抱っこ紐だってそれは同じだよ?。そして、正しくない使い方をしていたことが原因の事故も実際に起こってるそうだ。紐が突然ほどけて赤ちゃんが転落したり、かがんだ時に赤ちゃんが滑り落ちたり、きつく締め過ぎたのか気付いたら赤ちゃんの呼吸が止まってたり。という事故がね。
なのに、不思議と、『抱っこ紐による事故』については触れないんだよ。ベビーカーとか子供用ハーネスの場合は、事故の危険性を理由に非難したりするのに。
その姿勢を見ているだけでももう、『意図』を感じてしまう。『事故が起こるかもしれないから』じゃなくて、ただ『自分が気に入らないからケチをつけてる』だけという意図をね。
どんなものでも適切に使わないと危険だったり迷惑になったりするのは同じだよ。自転車による事故が問題になったりもしてるのも、結局は『適切じゃない使い方』が多くの場合で原因になってるよね?。無灯火の自転車も本当に多い。
昨日は僕が買い物に行ったら、その時に、赤信号の交差点を、自動車が青信号で進入しようとしてるところに大人が乗った自転車がまったく止まる気配もなく進入して自動車にブレーキを踏ませてた。自動車が気付かずにそのまま走り抜けようとしてたら確実に衝突してるタイミングだった。
こんな使い方をしてるから事故が起こるんだよね?。しかもそういうのは、
『赤信号でも止まらくていい』
と普段から考えてるからちゃんと信号を見ない。見ても止まろうという意識が働かないっていうクセが付いてるんじゃないの?。
とにかく、道具というものは、意識して適切に使うようにしないと危険だっていうのはどんなものでも同じだよね?。
信号を守らないような人や歩きスマホをしてるような人にはそれこそベビーカーや子供用ハーネスのことをとやかく言われたくないな。
ベビーカーを使っていたのは無理せず精神的に余裕のある状態で玲緒奈に接していたかったからだし、子供用ハーネスも玲緒奈を守りたいから、適切な使い方を心掛けようと思うんだ。




