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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百七十六 SANA編 「反撃できない相手」

六月十二日。日曜日。曇り。




大人でさえ、『事情を抱えた人』との接し方が分からないという人は少なくないと思う。だから何も分からないままに自己流だけで対処しようとして、軋轢を生んでしまったりということも少なくない気がするんだ。世の中にはそういう事例が無数にあるんだから、『他山の石』としてそこから何かを学ぶというのは、大人として心掛けることだと僕は思う。そしてそういう姿勢を、子供の前で手本として示す必要があると実感してる。それを『面倒だ』とか『やりたくない』と大人が思ってるから子供たちもどうすればいいのか学べなくて、結果、イジメとかの問題になるんじゃないのかな。


『イジメは、イジメられる側に問題がある』


んじゃないよ。あくまでも、


『イジメる側が未熟で物を知らない』


だけだとすごく感じてる。


なにをどう言い訳したって『イジメる側に問題がある』んだ。イジメられる側に何か問題があったとしてもそれに対処するのはあくまで大人の責任で、子供がやらなきゃいけないことじゃない。特に『問題行動』と言われるようなものについては、それをせずにいられない子が置かれてる家庭環境をはじめとしたいろいろな事情に対して総合的に見ないといけないはずだから、『専門家でもない素人の子供』がどうにかできることじゃないんだよ。


一真かずまくんや琴美ことみちゃんの件については、二人が目立った『問題行動』を起こしてないから沙奈子たちもあくまで『友達』として接することができてるだけ。これがもし、暴力的だったり攻撃的だったりしたら、積極的には関わらせない。


結人ゆうとくんの時だって、彼の『問題行動』や彼が抱えてる『事情』について対処していたのは僕たち大人だから。沙奈子たちには彼に対して攻撃的に振る舞って状況を悪くしないように心掛けてもらってただけ。


攻撃的に接してこられたら、相手だって同じように攻撃的になるしかなくなると思う。それじゃダメなんだ。それじゃ問題が余計に拗れるだけだって、結人くんのことがあったからこそ実感してる。彼は攻撃的に接してくる相手にはすごく攻撃的になる子だったし。


沙奈子や千早ちはやちゃんや大希ひろきくんはそうじゃなかったから、関わることもできた。結局はそういうことなんだよ。


結人くんはそれこそ一方的にイジメられてるような子じゃない。彼に対してイジメなんてことをしようとしたらまた『事件』になってたんじゃないかな。二年生の時と五年生の時に実際に事件になって彼が転校を繰り返すことになったみたいにね。


イジメは、結人くんみたいに攻撃的に反撃してこない相手だからこそ成立するものなんじゃないの?。


そう、『反撃できない相手』にしか通用しない、卑怯な振る舞いなんだよ。



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