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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百六十五 SANA編 「人生部の部室」

六月一日。水曜日。晴れ。


何だか涼しい一日だった気がする。




今日は水曜日だってこともあって、千早ちはやちゃんは新しい友達の家に行っていた。だけど、『SANA』の本社機能が新しいオフィスに移ったことで、一階をいよいよ『人生部の部室』に転用することに。


すると星谷ひかりたにさんが、昨日、


「部室用の机を購入しましたので、明日の夕方頃、到着するように手配しました」


と言ってた通りに、学校で使われてる机と椅子が七セット届いて。しかもそれは実際に学校で使われていたものが古くなって入れ替えた時に出た中古品で、


「あはは!、ホントに学校の机と椅子だ!」


トラックから下ろされたそれを見た大希ひろきくんが声を上げて。何しろ、綺麗にクリーニングはされていたけど、傷とかはそのままで。しかも尖ったもので削って書かれた落書きもそのままだったり。


「じゃあ、運び込んじまうぞ」


結人ゆうとくんが指示して、大希くんと結人くんと一真かずまくんがそれぞれ二回。沙奈子が一回。机を運び込む。そして琴美ことみちゃんは椅子を運んでくれて。


事務机二つと応接セットが撤去された一階の事務スペースに、学校用の机と椅子七セットは綺麗に収まった。机四つを突き合わせたのと三つを突き合わせたのを、二つ作って。自分たちでレイアウトするために、入り口前のスペースに机と椅子を下ろしてもらったんだ。


こうして形になったそれを見て、


「なんか部室ってか、教室?」


一真くんが呟くけど、


「いいんじゃない?。これで」


大希くんが応える。


これにて『人生部の部室』の出来上がり。


ちなみにイチコさんと田上たのうえさんは、新しい事務所の方の整理とか飾りつけの検討のために向こうに行ってて、今日はいない。


あと、品物を保管しておくためにパーテーションで区切った部分は、そのまま物置として使うことになった。


それを確かめたところで、


「じゃあ、今日はこれで」


一真くんが琴美ちゃんを連れて帰っていく。そのすぐ後で、


「ただいま~。って、おう!、部室になってんじゃん!」


千早ちゃんが帰ってきた。


「じゃあ来週から、しのっち連れてくるよ」


だって。


『しのっち』というのは、『篠原優佳しのはらゆうか』って、千早ちゃんの新しい友達だ。その子がここに馴染めるかどうかは分からないけど、安らげる場所になってくれたらいいなと思う。


そして、一階が『人生部の部室』として使われるようになれば三階が空く。それについては、玲緒奈れおながさらに成長したら『ウォール・リビング』は解体して普通のリビングとして使うようにして、三階を本来の用途の寝室として使うことにする予定なんだ。


だから、本社機能を移転したのは、そういう意味でもありがたかったかな。



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