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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百六十四 SANA編 「自分を放って」

五月三十一日。火曜日。雨のち曇り。




六月二十日まで、緊急事態宣言が延長されることになった。


正直、世の中では、『もういい加減にしてくれ』という空気感が漂ってる気がする。


そういうのもあってか、移転作業も、感染予防対策を徹底しながらのものだったとのことで、思ったより時間がかかってしまったそうだ。しかも、オフィスビルの一階の電気店でも何か手違いがあったそうで搬入用のスペースを空けておいてくれるはずだった時間に電気店への配送用トラックがまだ止まってて、『SANA』の移転用のトラックが入れなかったりも。


あくまで電気店が優先なので、空くまで待つしかなかった。


結局、搬入に使える時間は、三時間のはずが二時間になってしまって。ああでもそれは元々『最大三時間』ということだったから仕方ないのか。


その上、感染症対策をしながらだから、結局、全部は搬入しきれなくて、今日改めて残りを搬入することに。


これについても、その出荷および搬入用のスペースは、決して『共用スペース』というわけじゃなくて電気店が契約しているものだから、今回の搬入のために借り受ける『契約』という形にしてしまうと、『又貸し』になってしまう可能性があったので、『電気店の厚意』という形で使わせてもらえるというだけだったし、


『話が違う!』


みたいには言えなかったとのこと。そもそも、言うつもりもなかったそうだけど。


その一方で昨日は、ギリギリ雨が降り出す前に搬入できて、今日は朝から雨だったのが、トラックが来た時にはもう雨が止んでいて、そういう意味では運は良かったんだろうと思う。


こうして昨日今日の二日間、絵里奈が朝から夕方まで家にいなくて、僕がずっと、玲緒奈の相手をすることになった。


だけど玲緒奈自身は、ママがいなくてもぐずったりしなかったし、家を出る時にも、


「がんばえ!」


と言って送り出してくれた。玲緒奈がぐずったりすれば、必ず僕か絵里奈か玲那か沙奈子が気にかけてくれて声をかけてくれるから、『自分を放っていなくなったりしない』と信頼してもらえてるんだろうなって気がする。


僕たちのしてきたことの結果が、そこに出ていると思うんだ。玲緒奈からの信頼を勝ち得るために努力してきた結果がね。


仕事でもそうだよね。顧客からの信頼を得るためには、『信頼を得られる振る舞い』が必要だよね。自分の都合ばかり一方的に押し付けていて、それで顧客からの信頼を得られるの?。


赤ん坊も、人間だよ。人間だから、どういう相手なら信頼できるかというのは、そんなに大きくは違わないと思う。信頼を得られる振る舞いを心掛けていれば信頼を得られることもある一方で、そうじゃない振る舞いをしていれば、信頼を得られないこともある。


それだけの話だと思うんだ。



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