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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百六十三 SANA編 「本社機能の移転日」

五月三十日。月曜日。曇りのち雨。




いよいよ今日は、『SANA』の本社機能の移転日。


と言っても、実はここから運び出すものはそんなになかったりする。何しろ品物はもう新しい事務所の方に搬入してもらうようにしてて、それを玲那が管理してたから。だから、ここで事務作業してた時の事務机と書類を保管するためのスチールラックと事務用品の半分と、『新型コロナウイルス感染症』のこともあってほとんど使うことのなかった応接セットと、こっちに残ってた品物を運び出すだけで済んだ。それでもちょっとした引っ越し程度の荷物の量だった。


「こんだけのものが一階のどこに入ってたんだろうって思います」


作業に立ち会ってた絵里奈が、ビデオ通話越しに話し掛けてくる。


「確かに……」


僕も思わず呟いた。なにしろ四トントラック丸々一台分だからね。家全体じゃなく、一階だけなのに。


ただそれは、 一階の奥の三畳間にも、いつの間にやら品物や事務用品や品物発送用の諸々が溢れてたというのもあるだろうけど。


一階事務所の収納スペースだけじゃ収まり切らなくなって、あくまで一時的というつもりで置くようにしていったらあっという間に部屋の半分が占領されてしまったんだ。かろうじて裏のスペースに出られる通路が残っているという状態だった。


かつて中華料理屋の時には客席が並んでいたスペースには事務机が四つ並んでいて、品物を保管するためのスペースとして間仕切っていた部分も、ぎっちりと品物が詰まっていたんだ。


でもそれはもうすっかり無くなって、事務机が二つと、サンプルとしての品物が、残っているだけだった。


一応、僕も、確認のために玲緒奈を抱いて下りてきたら、なんだかガランとしてしまった印象に、違和感さえ覚えた。まだ大して長くそうだったわけじゃないのに、『SANA』の事務所としての光景がすっかり見慣れてたんだなと思わされる。


一方で、移転先のオフィスでは、星谷ひかりたにさんが手配していた改装工事も終わり、搬入の指示をするために向かった絵里奈を驚かせていた。


「もう何もする必要ないじゃんね~」


品物の管理のためにほとんど毎日通ってた玲那はそっちの作業も見てたのもあって、しみじみ口にする。


そうなんだ。搬入することになった事務机やスチールラックも応接セットも、置く場所はすでに決まっていて 、そこに据え付ければいいだけだった。


それ以外の諸々の小物についても、とりあえずは物置スペースに運び込んで、必要になったら順次出してくる感じになった。


オフィスの奥には、代表者である絵里奈の席と、現場の管理者にあたる玲那の席が並び、その前には八つの事務机。業務用のパソコンもそれぞれの机に備えられ、いつでも仕事ができるようになっている。



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