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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百五十七 SANA編 「炎上みたいに」

五月二十四日。火曜日。晴れ。




今日から沙奈子たちはテストでお昼までには帰ってくる。


でもそれはいいんだけど、午前にまた、見学希望の人が来た。しかも前回と同じく連絡なしで。


「へ~、ホントに地味なんですね」


うちの事務所を見るなりそう口にしたそうだ。


「この前の人がSNSにうちに来た時のことをアップしてて、それで自分もと思ったみたいです」


絵里奈が少し困ったように言った。今回も無下にはできないと思って対応したけど、正直、いい気分じゃなかったんだというのはすぐに分かる。


すると玲緒奈れおなが、


「ママ!。よしよし!」


言いながら絵里奈の頭を撫でてくれた。ママが落ち込んでるのを察して慰めようとしてくれたんだ。


「ありがとう、玲緒奈……!」


我が子の気遣いに絵里奈も目を潤ませる。


「でも、これで『私も、私も』って次々に勝手に来る人が現れるかもね~」


玲那が事務所からビデオ通話で話し掛けてくる。


「確かに……」


僕も、自分でも苦い表情になるのが分かってしまった。だから、


「でも、移転についてはもう決まったからね。事務所が殺風景なのは移転の準備をしてるからってことで説明したらどうかな」


と提案する。それに対しては、絵里奈も、


「そうですね。それが一番無難かも」


って応えて、そこに田上たのうえさんが、


「HPで移転準備中だってことを分かりやすく告知しておきましょう。そしたらさすがに来なくなるかも」


と言ってくれて、午後からの大学の講義に行く前にHPを更新してくれた。でもその時、HPのコメント欄に、


『見学は行ってないって言ってたのに見学させたんですか!?』


『ズルい!』


批判が並んでるのが確認できてしまって。それに対して、


『勝手に行く方が悪い!』


『そうだよ。事前に連絡も入れずに押し掛けてそれで門前払いされなかっただけ感謝するべきだと思う!』


『アポなし訪問するような非常識な人が『SANA』のドレスのファンとか有り得ない!』


みたいなコメントも。


それに対して、『SANAスタッフ』のコメントとして、


『皆様の熱意あるコメントに、社員一同、深く感銘を受けております。私どもはまだ事業を始めて間もない若輩者ゆえ至らない点も多々あると存じます。なればこそ、一つ一つの事柄を経験として真摯に受け止め、精進してまいります』


という一文がアップされていた。それは、『SANAの外部顧問』として、SNS上での対応についてアドバイスをもらってる山仁やまひとさんのコメントだった。


時系列を確認するに、これがアップされた後は、コメント欄も沈静化していったみたいだ。


「こういうところはさすがに『歳の功』ですよね。見倣わなくちゃ……」


絵里奈もしみじみとそう口にする。


ただ、『SANAのHPのコメント欄』についてはそれでだいたい収まったみたいだけど、発端となった、先日『SANA』に来た人のものらしいアカウントに対しては、批判のコメントが集中、『炎上』みたいになってしまったらしくて……。



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