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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百四十八 SANA編 「別々に行動する」

五月十五日。日曜日。晴れ。




星谷ひかりたにさんが、本社機能の移転についてすんなりと話を進めてくれたのは、うちが、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんにとって大切な場所だからというのもあったみたいだ。そこで何かあったりしたら、彼女はそれこそ、『何かしてきた人』のことを許さないだろうって気がする。そういう意味でも早々に対処した方がよかったみたいだね。


で、今月中には結論を出して、移転する場合は来月中には実施することになった。


そうして空いた一階の事務所は、それこそ『人生部の部室』として使うことになるだろうって話が。


「いや、私はありがたいですけど、大丈夫なんですか?。テナント借りるってなったら、ほら、賃料とかバカにならないですよね」


ケーキ屋開業を目指してシミュレーションを続けてる千早ちはやちゃんは、そういうコスト面のことも今じゃすっかり当たり前に考えるクセが付いて、実にリアルな話を切り出してきた。


だけどそれに対しては、


「うん。もちろんそれは大事なことだけど、顧客対応のためにあれこれ整えるにも今の事務所じゃなかなか大変だからさ。その辺りはちゃんとコストをかけてでもっていうのはあるから。しかも、星谷さんがまた海外で販売ルートを開拓してくれて、一気に取引数が増えそうなんだ」


絵里奈が説明する。実際、ほぼ横ばいの売り上げが維持できてたのは、海外のお客さんが増えてきたかららしい。実は国内のは減少傾向にあったって。お客さんの中にも、『バイト先が閉店した』『勤務先が倒産した』等々、シビアな話が結構あったそうで。


僕たちにはそれをどうにかする力はないけど、星谷さんの力もあって、なんとか『SANA』を維持することはできてる。だからこそ、どこかまだ『おままごと』的な緩い気持ちがあったのを改める時期が来てるんだろうなって、そんな風にも思えた。


「やっぱり、『企業としての体裁』っていうのも、大事ですからね」


絵里奈が改めて言う。


そうして大人たちが『仕事』の話をしてる間、昨日は久しぶりに沙奈子は水族館に行ってたんだ。だけど、一緒に行ったのは、玲那と結人ゆうとくんだけ。というのも、一真かずまくんと琴美ことみちゃんだけでうちにいさせるのは、二人も居心地悪いだろうからってことで、千早ちはやちゃんと、二人の助けになりたいって考えてる大希ひろきくんが残って、って形で。


こうやって、だんだん、それぞれが別々に行動することも増えてくると思う。いつも一緒に行動してた星谷さん、イチコさん、波多野さん、田上たのうえさんが別々に行動するようになったみたいにね。


玲那は、『SANA』についての話の途中で抜けてついて行ってくれたけど、結人くんは、沙奈子を守るためについて行ってくれたそうだ。



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