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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百四十七 SANA編 「テナントビル」

五月十四日。土曜日。曇り。




北海道とかも緊急事態宣言が適用されるらしい。


世間ではそういう状況もありつつ、


『もっとちゃんとした営業所みたいなのが必要になってきたのかもね』


僕たちの間では、今の『SANAとしての本社機能』には無理が生じつつあるという共通認識があった。


「まあ、正直どこまで上手くいくか分かんないから家内制手工業的に始めた会社だけど、まさかここまでコンスタントにちゃんと売り上げが上がるとは、驚きだよ」


玲那がしみじみとそう言った。


そんなわけで、イチコさんや田上たのうえさんも含めて、ビデオ通話で話し合う。


「だから、改めてテナント事務所を借りてそちらに本社機能を移転しようと思うんだけど、二人の意見も聞かせてほしい」


絵里奈が言うと、イチコさんが、


「あ~、それは私も思ってた。時々、事務所を覗き込んでる人がいたりするんだよ。お客さんだと思えば邪険にもできないけど、ほら、ここって山下さんの自宅でもあるから。正直言って今のままじゃマズいんじゃないかな~って思ってた」


しみじみ口にした。そこに田上さんが、


「私は、今より遠くなるようだったらちょっとつらいかなって思います。だけど、イチコの言うとおり、何かあっても嫌だから、今とそんなに変わらない通勤時間で済むなら、アリかなって思うんです」


正直な気持ちを告げてくれた。確かに、今はそれこそ絵里奈や玲那にとっては通勤時間なんてないわけだから、それが多少でも必要になるのは不便なのも事実だと思う。でも、それについては、


「ウチの場合は、在宅勤務も可能だからね。それは相談に応じるよ」


絵里奈も応えた。すると、


「そういうことなら、別に問題ないんじゃないかな~」


とイチコさん。


「ですね。私も反対する理由はないです」


と田上さん。


人数が少なくてしかも元々親しくお付き合いのある人たちだから割とすんなりと話が決まった。これがもっと人数が多いとさすがにこうはいかないだろうな。それぞれ、事情もあるだろうし。


だからこそ、今のうちに決めた方がいいのかもしれない。


そこにさらに星谷ひかりたにさんも加わって、


「確かに、私もその懸念については想定もしていました。ゆえに、警備保障会社の巡回ルートにも組み込んでいただいていたのですが、やはり何らかの事件が起こってからでなければ対処はできません。なればこそ、セキュリティが考慮されているテナント事務所への移転は、意義のある選択であると私も考えます」


と言ってくれた。しかも、


「差し当たって、私の会社が入っているテナントビルに空きがありますので、そちらを当たってみます」


だって。相変わらず、ううん、以前よりさらに行動力が増している気がする。



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