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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百四十三 SANA編 「大人になったら」

五月十日。火曜日。晴れ。




僕たちは、世帯年収は確かに一千万円を超えたけど、『裕福』かと言えばそんなことはぜんぜんない。何しろ、僕と絵里奈と玲那三人の収入を合わせることでそれが達成されてるだけだから、一人当たりの収入は本当に大したことがないんだ。


そして千早ちはやちゃんの家でさえ、年収四百万円台のお母さんと、それぞれ年収二百万円台のお姉さん二人が同居してるから世帯年収で言えば八百万円に達してるだけでしかない。そこに、千早ちゃんが働き出せば、なるほど世帯年収一千万円を達成できるだろうな。


これぞまさしく『数字のトリック』だと思う。世帯を分けなければ家族それぞれの収入を合算して『世帯年収』ということにできるだけでしかないんだよ。


その一方で、『必ず結婚する必要もない』のなら、もう別に世帯を分ける必要もないよね?。もちろん、働かずにただ扶養のままでいるなら問題かもしれないとしても、働いているなら何も無理して家とか借りなくてもいいんじゃないかな。それとも、世帯を細かく分けて賃貸に入ってくれないと家賃収入が減るから、『こどおじ』とか『こどおば』って言葉を作って煽ってるのかな?。


そんなことを考えてしまうほど、


『大人になったら家を出て行くべき』


という考え方の不自然さを感じてしまうんだけどな。


家族の関係が良好だったら、一緒に暮らしていても何も支障はないと思うよ?。玲那が一緒に暮らしてることで何か問題があるかと言ったら、何もないし。それどころか、沙奈子の卒業式とか入学式とかで僕と絵里奈が揃って家を出なくちゃいけない時でも、玲那がいてくれたから安心できたからね。


『家族に出て行ってもらいたい』『家族と一緒にいたくない』という発想って、本当に何なんだろう?。どうしてそんな風に思うんだろう?。


僕は別に、沙奈子や玲那に、『出て行ってもらいたい』なんて思わないけどな。結婚するなら確かにいろいろ気を遣いそうだから別々に暮らした方がいいと思うし、平穏に暮らせてるなら口出ししようとも思わないし、歳を取ったら養ってもらおうとかも全然考えてないけど、結婚しないならこうやって家族で穏やかに暮らしていけたらむしろ幸せだと感じるんだけどな。


だってお互いに相手をちゃんと人間と見做せてるから。もしそうじゃなかったら、『自分の都合を一方的に押し付けてくる理不尽な他者』でしかなかったら、確かに一緒になんて暮らしていたくない気がするけれど。


どうしてそんなことになるの?。どうして自分の家族なのに、人間として扱えないの?。どうして自分の都合ばかりが優先されるべきと考えられるの?。自分の家族に嫌な思いをさせようとするとか。意味が分からないよ。



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