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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百四十一 SANA編 「平穏な生活を守る」

五月八日。日曜日。晴れ。




昨日は、水族館が休館してることもあって、学校から帰ってきた沙奈子たちは『人生部としての活動』をしてた。課題と自主勉強を済ませた後でね。


どんなに立派で素晴らしい制度があったって、『国や行政と子供の間にいるのは親』という事実がある以上、親がその制度を悪用したら子供には届かないというのも事実だよ。それこそ、親の在り方とかに関係なく国や行政が子供を学校に通わせてくれて、学校で必要な一切合切を現物支給してくれるんならまだしもだけどさ。


とにかく、親が国や行政からの支援を差配できてしまう限りは、親の人間性で国や行政が用意してる支援が実際に効果を発揮するかどうかが決まってしまうことに変わりはないから、沙奈子や玲那や結人ゆうとくんや一真かずまくんや琴美ことみちゃんのように支援が届かない子供が出てしまう事実は変わらないよ。


親が介入できる以上はね。たとえ現物で支給されたってその現物をお金に換えてしまったりする親もいるだろうな。


だからそういう親に当たったら、そうじゃない親の下に生まれた子供より確実に不利なのは間違いないと思うけど?。僕たちがいくら一真くんや琴美ちゃんに手を差し伸べても、その不利をどこまで吸収できるか……。


勉強にしても、小学校の頃から星谷ひかりたにさんの下で勉強ができた沙奈子や千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんに比べれば圧倒的に出遅れてるよね?。


確かに結人くんは沙奈子たちに比べると出遅れつつ、かなり追いついてはきてるけど、果たして高校からだとそれもどこまでできるんだろう……。


ただ、一真くん自身、沙奈子たちと同じ学校に、ギリギリとはいえ合格できたわけだから、それができるだけの地力はあると思う。加えて、琴美ちゃんはむしろ沙奈子たちよりも早く始められることで有利かもしれない。


でもこれも、『国や行政の支援』なんかじゃないんだよね。しかも僕たちは、世帯年収が一千万円を超えたことで、金銭的な支援はほとんどなくなった。しかも、あまり無茶な節税対策も敢えてしないことにしてる。そんなことをしてて税務署とかに目を付けられたら、平穏な生活ができなくなるし。『法的にグレーな節税対策はしないようにする』というのは、『平穏な生活を守るためのコスト』と割り切ることにしたんだ。


税金や保険料の負担は確かに大変でも、それで飢えるわけじゃないから。スマホ代とかも、うちはそんなにかかってない。冷暖房費は、玲緒奈れおながいるから彼女に合わせるために少々高くついてるけど、これも『平穏な生活を守るためのコスト』だよ。


だけどさ、そう考えない親の下に生まれた子供って、どうなのかな……?。



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