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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百三十五 SANA編 「思う存分満喫してこそ」

五月二日。月曜日。晴れ。




今日は連休の合間の平日。当然、沙奈子たちは学校だ。琴美ことみちゃんも学校がある。


そうして沙奈子たちが学校を終えたら、一真かずまくんが琴美ちゃんを迎えに行って、それからうちに来た。


三階で、沙奈子、千早ちはやちゃん、大希ひろきくん、結人ゆうとくん、一真くん、琴美ちゃんの六人で過ごす。課題や宿題をしながら。


テレビのモニターにビデオ通話の画面を映すようにした時には興味深そうにしてた玲緒奈れおなも当たり前になってくると興味も失せたみたいで、


「ぶんどどぶんどど!」


とまた謎の呪文を唱えながらウォール・リビング内を走り回って壁や僕に体当たりしてた。本当にもう元気いっぱいだな。できれば外で遊ばせてあげたいくらいだけど、正直、公園に行くのもはばかられる今は我慢かな。それに、玲緒奈自身も別にこの状態で不満があるわけじゃなさそうだし。今だって、自動車のおもちゃを持ってトンネルの中を行ったり来たりしてる。


かと思うと、床に寝転がって拳しゃぶりしてて、気が付いたら寝てたり。


「あらあら」


僕は玲緒奈用の布団をかけてあげて、寝かせておいた。


彼女は本当に自分の命を満喫してるのが分かる。僕や沙奈子や玲那や結人くんができなかったことを全力でやってくれてるんだ。そしてさらに、一真くんや琴美ちゃんができなかったことでもあるんだろうな。


こうやって自分の命を思う存分満喫してこそ『生まれてきてよかった』と思ってもらえる気がする。僕は玲緒奈にそれができる環境を提供したいんだ。ウォール・リビング内には玲緒奈が触れて危険なものは極力置かない。彼女が好き勝手してても心配がないようにしてるから僕も絵里奈も苛々しないで済む。今の玲緒奈には、大人の事情や都合なんて理解できない。だったら、彼女が好き勝手してても大丈夫なようにしておけばいい。いろんなことが理解できるようになってから改めて教えていけばいいだけだ。


僕の兄も、家では好き勝手させてもらえてたように一見すると思えてたけど、よくよく考えたらそうじゃなかったのが、改めて思い出してみると分かる。好き勝手出来てるように見えて、実はお菓子やおもちゃやゲームで誘導されて、行動を制限されてたんだ。そして兄はいつしか、自分が余計なことをしようとすれば両親がお菓子やおもちゃやゲームを与えてくれることを学んでしまったみたいで、逆にしちゃいけないことをしようとするようになった。それをやめさせるためにお菓子やおもちゃやゲームがもらえるから。


そうして兄は、なんでも自分の思い通りにさせようとする暴君になっていったんだ。



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