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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百三十 SANA編 「いっそ養子にでも」

四月二十七日。水曜日。晴れ。




今日はなんだか肌寒い気がする。それでも沙奈子たちは元気に学校に行った。今週金曜日からはゴールデンウイーク。なのに緊急事態宣言が出てるから水族館も休みで残念ではあるかな。もっとも、僕たちは基本的にインドア派だから、家にこもるのはむしろ得意だし、何も苦にならない。特に僕は、玲緒奈れおなと接してるのが楽しいから。


だけど、一真かずまくんや琴美ことみちゃんの両親のように自分の子供を愛せない親というのは現実にいる。これも、相手を人間だと思えばこそ、


『そういう人もいる』


って分かると思う。


『子供ができたら誰でも親として子供を愛せるようになる』


なんて、『現実を見てない人の世迷言』としか僕は感じないんだ。僕は玲緒奈を愛してるけど、誰もが僕と同じなのが当たり前なんて思わないよ。だから本当は、子供を愛せない親からは引き離した方がいいんだろうなと感じる。


玲那が実の両親から被害を受ける前に引き離せてたら、あの事件もなかっただろうなとしか思わない。だって玲那にはそれ以外にあんな事件を起こす理由がないんだよ。


だから、もし、僕の身近で『子供を愛せない親』がいたとしたら、養親になってもいいと考えてる。こうして沙奈子や玲緒奈を育てているからこそ、今の僕なら大丈夫だって感じる。血を分けた実の子供でなくちゃ無理ってことならそもそも沙奈子の親になんてなれてないし、玲那のこともそうだよ。


だけどその一方で、血の繋がってない子供どころか実の子でさえ愛せない親がいるというのも事実だと認めなくちゃいけない。子供を愛せないことをいくら責めたって愛せるようにはならないはずだから。


それを責めるから逆に一真くんと琴美ちゃんの両親は、児童相談所とも顔を合わせないようにしてるんだろうなって気がする。自分たちが責められると感じてるんじゃないかなって。


子供がいることで児童手当やそれ以外の手当てをもらえるって思ってるかもだけど、そんな手当て、実際に子供がいたら完全に赤字だよ。以前に支払われた一時金の十万円だって、一真くんと琴美ちゃんの分で二十万円あったはずでも、二人にかかった生活費はそんなものじゃ済まなかったはずなんだけどな。しかも二人の両親は、入金されたその日に下ろして自分たちの遊びに使ってしまったみたいで。


だから、愛してないならいっそ養子にでも出してくれたら、いい養親にさえ巡り会えれば少なくとも今よりはマシだったかもしれないのに……


もしかすると、二人が働き始めたらそれをあてにするつもりなんだろうか。



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