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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2120/2601

二千百二十 SANA編 「人間から生まれるのは」

四月十七日。日曜日。晴れ。




沙奈子たちは、いよいよ大人として自分の判断や振る舞いについて責任を負えるようになるための研修期間に入っていく。


一方、玲緒奈れおなも、人間としての振る舞い方を毎日毎日学んでいるのを感じる。


だからこそ実感するんだ。


『人間として扱ってもらえなかった経験を持つ人が、自分にとって都合の悪い相手を人間扱いしないんだろうな』


ってね。


だってそうだよね?。自分は人間だから当然、『嫌なことはされたくない』って考えるよね?。なのにどうして、他の人のことは、特に『自分にとって都合が悪い人』に対しては、『相手が嫌だと感じることをしていい』と思えるの?。相手をちゃんと人間だと思ってれば、自分がされて嫌なことをされたら傷付くし悲しむしつらいと感じるはずだって分かるはずなのに、どうして相手が嫌だと感じることが平然とやれるの?。


僕はこれは、結局は相手のことを『自分と同じ人間』だと思ってないからだろうなって感じるんだ。自分にとって都合の悪い相手については、


『人間じゃない』


って、少なくとも、


『人間である自分とは別のもの』


って思ってるからそんなことができるんだろうなって。そしてその、『相手を人間と見做さない』なんていう考え方をどこで学ぶのかと言ったら、


『子供なんて動物と同じだから躾けて人間にするんだ』


という考えで子供と接してることから学んでるんだろうなって、こうして自分が子供を育ててるからこそ実感した。


じゃないと、いつ?、どこで?、誰から?、そんなことを学び取るの?。山仁やまひとさんからちゃんと生まれた時から人間として扱われてきた接してもらってきたイチコさんと大希ひろきくんは、ちゃんと相手を人間として接することを当たり前にできるよ?。と言うか、そもそも『相手を人間じゃないものとして見做すという感覚』がないんだっていうのが見ていれば分かる。


子供は確かに親の思い通りにならないことが多いかもしれない。親にとって都合の悪い存在だったりするかもしれない。だけど、人間から生まれるのは人間なんだよ。人間以外の何かが生まれてくるわけじゃない。


子犬は『犬』だよね?。犬じゃないものが成長して犬になるわけじゃないよね?。成犬と同じことができなくてもれっきとした『犬』だよね?。


鳥のヒナは『鳥』だよね?。鳥じゃないものが成長して鳥になるわけじゃないよね?。成鳥と同じことができなくてもれっきとした『鳥』だよね?。


だったら、人間の産んだ子供が『人間以外の何か』だなんてことはあるわけないと思うんだけどな。大人と同じことができなくても、人間の子供は『人間』なんだ。


どうしてその現実が認められないの?。親にとって都合が悪いからって人間じゃないものと見做して接するなんてことをしてるから、『自分にとって都合の悪い相手は人間と見做さない』なんてことができるようになるんじゃないの?。ってすごく感じるよ。



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