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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百十八 SANA編 「ほんの数秒の間のこと」

四月十五日。金曜日。曇り。




今日は金曜日だけど、明日も沙奈子たちは学校がある。第三土曜日だから。


「うえ~っ!。土曜日もとか、地獄~」


「だり~よな」


千早ちはやちゃんと結人ゆうとくんはそう言うけど、本気で嫌がってるわけじゃないのは声の調子で分かる。


「私は別に嫌じゃないけど……」


沙奈子は呟いて、


「あはは……」


大希ひろきくんは苦笑い。


学校から帰ってきて三階で課題をしながらそんな話をしてる沙奈子たちの姿が、テレビをモニターにしたビデオ通話の画面に映ってる。


それを見ながら玲緒奈れおなはトンネルの屋根をバシバシ叩いて、


「ぶるるる、どぶるる、ちゃーっ、ちゃーや、ひろ、ゆーと!」


って。僕は、


「そうだね。お姉ちゃんと千早ちゃんと大希くんと結人くんだね」


応えた。沙奈子と千早ちゃんと大希くんと結人くんのことを言ってるんだって分かったから。


しばらくすると飽きたのか、トンネルの中に入って行ったり来たり。そうかと思うとトンネルの中の壁にもたれて座って自分の足を持ち上げて下ろして持ち上げて下ろしてと、謎の遊び。


もちろん僕も仕事があるからずっと見てたわけじゃないんだけど、覗き込んだらそんなことをしてた。


一方、沙奈子たちは課題も終えてそれぞれ好きなことを始める。当然、沙奈子はドレス作りで、千早ちゃんはゲーム。大希くんは何か調べ物をしてるみたいで、結人くんはまたドール用の家具作り。これまでと変わらない様子で安心する。


あと、絵里奈も今は三階に上がって、沙奈子と一緒にドレス作りをしてた。今では沙奈子がそうしてる時に絵里奈も同じようにするんだ。


ママがウォール・リビング内にいなくても、出掛けるための用意をしてない限りは玲緒奈はそれほど気にしないみたいだ。家の中にいるっていうのは分かってるからだろうな。


そう言えば、母親がトイレに行くと赤ん坊が泣いたりして仕方なくトイレのドアを開けたまま用を足すこともあると聞いたけど、うちは、必ず誰かが傍にいるからか、そういうのはなかったな。


それから、お風呂に入れるのは、僕じゃなくても大丈夫になってきた。玲緒奈自身が自分で立ってられるようになったからかな。ただし、僕が入れる時も絵里奈が入れる時も、自分の体を洗ってから玲緒奈を連れてきてもらうようにしてる。でないと、特に頭を洗ってる時なんかにはどうしても目を離す瞬間があるからね。実は山仁やまひとさんが言ってたんだ。


「昔、イチコをお風呂に入れてる時に、私が一瞬目を離したら浴槽の中にイチコが沈んでて、底から唖然とした様子で私を見ていたことがあったんです。もちろんすぐに引き上げたから事なきを得ましたけど、イチコは怖かったのかすごく泣いて、私も肝を冷やしました」


って。本当に石鹸を取ろうと目を離したほんの数秒の間のことだったって。これがあるから目を離しちゃいけないんだって感じたよ。



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