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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百十六 SANA編 「平穏に暮らせてるから」

四月十三日。水曜日。曇り時々雨。




今日から沙奈子が通う高校で授業が始まる。でも、彼女の様子からは少しも不安そうな気配が感じられない。それもそうか。沙奈子にとって学校の授業はずっと復習という形になるから。一度習ったことを改めて教わるだけだから。


これは、千早ちはやちゃんも大希ひろきくんも結人ゆうとくんも一緒。だから三人とも、勉強についてはなにも心配してないそうだ。


「中学ん時も、正直言って『教え方下手だな~』って感じる先生とかもいたけど、ピカえから先に教わってたからね。『ああ、こう言いたいんだろうな』ってのはすぐに分かったよ」


千早ちゃんがそんなことを言ってたのを思い出す。


そうして勉強に対して不安がないというのはすごく大きいだろうな。しかも千早ちゃんは、


「もうクラスの半分くらいとは仲良くなったよ♡」


自慢げにそんなことを言ってた。それに対して沙奈子と大希くんと結人くんは、


「すごいね……」


「コミュ力オバケだろ」


「どうでもいい…!」


って。


だけど、そんな千早ちゃんを妬んだりしてないのは分かる。みんなそれぞれ自分にできることをしたらいいだけだって思ってるからね。


そうだ。人間は一人一人違う。それは事実なんだよ。その事実を認められない、現実を見ることができない人が問題を起こす。結局、イジメも虐待もパワハラも、相手が『自分とは別の人間』だってことを認められなくて自分の思い通りになってくれるのが当たり前だとか思ってるからそんなことができるんだとしか感じない。沙奈子や玲緒奈を育てたからこその実感だ。


相手をちゃんと一人の人間と認められていたら、傷付けたり苦しめたりなんてできる方がどうかしていると思う。だってそれ、


『自分も誰かから同じようにされても構わない』


と言ってるのと同じだし。


『このくらいされても平気だ!』


とか言う人もいるかも知れないけど、そうじゃないよ。『自分がされて嫌なこと』をされて平気なの?って話だから。しかもそれを、


『一回や二回じゃなくて継続的にずっとやられる』


ってことだからね?。一回や二回くらいならほとんどの人は我慢できると思うよ。だけどそれをずっととなると、精神的に追い詰められていくんじゃないの?。そんなことも想像できないの?。沙奈子や玲那や千早ちゃんや結人くんが実の親からされてきたことを考えると、平気なわけないと思うんだけどな。


そして沙奈子も玲那も千早ちゃんも結人くんも、今はそんな心配もなく平穏に暮らせてるから、自分がされたことを他の誰かにしようとは考えないんだよ。



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