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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百十五 SANA編 「ママの真似かな?」

四月十二日。火曜日。晴れ。




今日は、沙奈子が通う高校で、早速テストがあるそうだ。でもこれはあくまで中学で学んだことをどの程度理解してるかを確認するためのものらしい。そして今日までは午前中で学校は終わる。授業は明日からだって。


中学と違って給食はないから、お弁当かその代わりになるものを持っていくことになる。これについても、沙奈子は、


「私が自分で作るから」


と言ってくれてる。そして、


結人ゆうとの分も私が作る」


だって。自分の分を作る時についでにってことだ。沙奈子の手際なら確かに一人分作るのも二人分作るのもそんなに違いはないだろうな。


「ありがと~!。沙奈子ちゃん!」


鷲崎わしざきさんは、平身低頭、感謝してた。正直なところすごく助かるみたい。鷲崎さんはあまり料理は得意じゃないというのもあるし、彼女の手際だと、喜緑きみどりさんの分と合わせて二人分を作るのは大変そうだし。


そうなんだ。喜緑きみどりさんのお弁当は、鷲崎さんが作ってる。喜緑さん自身は、


「外食で済ますからいいよ」


って言ってたらしいけど、


「ううん!。私が作るから!」


と強引に押し切ったんだって。この辺りの押しの強さは、大学時代と変わらないな。


あと、今日は僕も会社で打ち合わせがある。だから、


「ごめんね。パパは今日は会社に行かなきゃいけないんだ」


玲緒奈に告げると、


「ぶーっ!!」


やっぱり唇を尖らせて頬を膨らませて全力で不満を表してた。ただ今日は、絵里奈はずっと家にいてくれる。ママが出掛ける用意をしてないのは察したみたいで、その分だけ不満は低めみたいだ。僕のことを叩いてもこない。


「ありがとう、玲緒奈。愛してる」


僕はそう言いながら彼女を抱き締める。それから絵里奈とキスを交わしてウォール・リビングから出ようとすると、


「パパッ!」


玲緒奈が僕のズボンを掴んで見上げてくるから、


「どうしたの?」


膝を着いて顔を寄せると、ガシっと両手で頬を掴んで、ぶつかってくるみたいにして僕の唇を奪ってきた。


「あはは!。これは激しいな!」


仕事の用意をしてた玲那が笑いながら言った。


「ママの真似かな?」


絵里奈は苦笑い。


そうだね。ママがしたことを真似しようとしたんだろうな。


「ありがとう、元気出たよ」


僕はもう一度抱き締めて、そう告げた。本当は、虫歯菌とかがうつる可能性があるから口と口のキスとかはしないようにと思ってたんだけど、油断したよ。次からは気を付けないとね。


ああそれから、キスと言えば、沙奈子の方は、しばらく『いってきますのキス』『いってらっしゃいのキス』を求めてきてたのが、大希ひろきくんが元通りになったからか、昨日からは求めてこなくなったな。たぶん安心できたんだと思う。



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