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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百十四 SANA編 「道理を理解するのは」

四月十一日。月曜日。晴れ。




今日から本格的に沙奈子たちの高校生活が始まる。と言っても今日は、写真撮影とホームルームと新入生歓迎会だけらしいけど。


「ちゃーっ!。ぶんどどぶんどど!」


高校のブレザーをまとった沙奈子を見て、玲緒奈れおながまた謎の呪文を口にしながら脚に抱き付いてる。しかも、スカートの中に隠れたと思ったらバッと顔を出して、


「ぶあーっ!」


『どうだ!?』と言わんばかりのすごいドヤ顔で現れたりして。なのに沙奈子は嫌がるでもなく玲緒奈の好きにさせてくれて。


そんな玲緒奈でも、実は他所の人に対してはあんまり馴れ馴れしくしない。検診に行った時も、他の人に積極的に絡んでいったりはしないんだ。だからって怯えたりしてる風でもなくて、堂々とした態度で座って周りを睥睨するみたいにして見てたりはするんだけどね。


だからたぶん、自分に対して相手がどういう意識を向けてるかってことで対応を変えてるんじゃないかなって推測してる。ちゃんと家族とそれ以外を理解してるんだって感じるんだ。


そうだね。他所の人はそんなに玲緒奈に対して意識は向けないとしても、僕たち家族はみんな、玲緒奈のことが大好きだから。表情一つとっても他の人とはまったく違うんだと思う。そうして玲緒奈は家族とそれ以外を区別してるんじゃないかな。


自分のことを見てくれてない。自分のことを尊重してくれるわけでもない。自分のことを大切にしてくれるワケでもない。そういう人と積極的に関わる必要はないってことを分かってくれればいいと思う。そうじゃないと、自分を都合よく利用してるだけの人に依存したりすることもあるだろうからね。実際にはとても『友達』なんて言えない相手と友達でいようとして言いなりになったりとか調子を合わせるだけだったりとか。そんな関係なら距離を置いた方がいいと僕は思う。


もしくは、承認欲求を拗らせたりってこともあるかもしれない。どんなやり方ででも有名になって多くの人に見てもらいたいと思うかもしれない。


そんな心当たり、ないかな?。僕にはあるから、沙奈子や玲緒奈にそうなってほしくないんだよ。


沙奈子や玲緒奈を叱らないのは、『甘やかしてる』からじゃない。まず先に、


『自分はこの世に生まれてきてよかったんだ』


というのを実感してもらいたいんだ。道理を理解するのはその後でいい。むしろ、『自分はこの世に生まれてきてよかったんだ』という実感が乏しい人が問題を起こしている印象しかない。その実感が乏しいから、上辺だけでも優しくしてくれる相手に依存したり、承認欲求を拗らせたり、そんな感じになる印象しかね。



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