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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百十三 SANA編 「おしおと!」

四月十日。日曜日。晴れ。




今日も沙奈子たちは『人生部』の活動をしてる。しかも今日はケーキを焼いて。ちょっと遅れての『入学祝』としてね。


自分たちで自分たちの入学祝のケーキを作るなんておかしいかもしれないけど、彼女たちがそれでいいなら、僕がどうこう言うことじゃない。


今もテレビをモニターにして、ビデオ通話の映像を映してる。その中で沙奈子たちが作業してる様子を見て、玲緒奈れおなも、


「ちゃーっ!。ちゃーっ!。ぶるるるる!」


指を差しながらなんだか興奮してた。


「そうだね。お姉ちゃんたちがお仕事してるね」


僕が口にすると、玲緒奈は、


「おしおと!?」


って。


「うん、お仕事だね」


僕が応えたら今度は、


「おしおと!。おしおと!!」


テレビの前に設置した段ボール製のトンネルの屋根をバンバン叩きながら何度も。


ああ、順調に成長してくれてるなって改めて思う。本当に朗らかで自分の気持ちを正直に表してくれて。


『言いたいことも言えない世の中なんて!』


って言う人は多いけど、そんなの、誰もが言いたいこと言いたいように口にしてたら本当に殺伐とした世の中になるとしか思わない。と言うか、ネットなんてまさにそうなってると思うんだけどな。みんなが好き勝手なことを口走って罵り合って。


だけど僕は、沙奈子や玲緒奈にそんなことをしてほしくない。言いたいことがあるなら僕が聞くよ。だから、他の誰かに対しては、たとえ言いたいことを言うとしてもちゃんと言葉を選んでほしいと思う。


そして、他所様の生き方に難癖をつけるような人にはなってほしくないんだ。


ネット上にはそれこそ、誰かを妬んでその人の生き方にまで難癖をつける人が溢れてる。自分の生き方に誰かが意見することは許さないのに、自分が誰かの生き方に難癖をつけるのは許されるべきだと考えてるみたいだね。


結婚するとかしないとか、子供を持つとか持たないとか、離婚するとかしないとか、そんなの、個々人がそれぞれの事情に合わせて判断して決断すればいいことじゃないの?。それに対してどうして難癖をつけるの?。それでいて自分の生き方に意見されたらキレるんだよね?。随分とムシのいい考え方だと思う。


『生き難い世の中だ』って感じてるのかもしれないけど、他所様の生き方に難癖をつけることで、その『生き難い世の中』を作ることに自分も加担してるってどうして気付かないんだろう?。自分のやってることが自分に返ってきてるだけだと思うんだけどな。


自分以外の誰かが優遇されてるように感じてるなんて、それってただ『妬んでる』だけだよね?。


そんな風に他所様を妬むような人間になってしまったのは、なぜ?。



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