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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2106/2601

二千百六 SANA編 「それ以外のものじゃ」

四月三日。日曜日。雨。




『育休』が必要になったのは、結局、『核家族』と『共働き』が当たり前になったからだろうな。うちは玲那がいてくれるおかげでまだ楽させてもらってるけど、昔はそれこそ家族が何人もいて手伝ってもらえたんだろうけど、今はそうじゃないからね?。状況が変わってるのにそれを認めない人が『現実が見えてる』とは到底思えないよ。


もっとも、僕は、玲那がいてもいなくても関係なく育休も取ったし玲緒奈れおなを育てもしたと思う。だって、『僕の子供』だよ?。僕の子供が育っていくんだよ? それに積極的に関わらないなんてそんなもったいないこと、有り得ない。僕にとっては。僕の今の状況からすれば。


『子供との接し方が分からない』


そんなことを言うのも僕には理解できない。以前は理解できたけど今はできない。相手は犬でも猫でもない『人間』なんだって思い知らされたから。大人よりは知識も経験も少なくていろんなことが上手くできないだけの人間なんだよ。人間なんだから人間として接すればそれでいいだけだった。それが分からないということは、人間とのコミュニケーションの取り方も知らないってことだよね?。それじゃあ、親とどんなふうに関わってきたって言うの?。親だって人間だよ?。人間と関わってきたはずだよね?。人間に人間として育てられたんだよね?。だったら分からない方がどうかしてるんじゃないかな?。


だけど僕も確かに、実の両親からは人間として扱ってもらえなかった。だから人間とのコミュニケーションの取り方も分からなかった。いっそ野犬か何かとして人間を敵視して襲い掛かれた方が楽だったかもしれない。だけど僕は仮にも自分を人間だと認識してたから、人間として振る舞うことを心掛けてた。ちゃんとはできてなかったけどね。


その所為で、最初は沙奈子と関わることさえ苦痛だったよ。どうしていいのか分からなかった。だけど、沙奈子のことを人間として扱うことを心掛けてたら、何とかなったんだ。だから今では何も心配してない。玲緒奈れおなに続いて子供が生まれても、どうすればいいのか今なら分かる。だって自分も相手も人間なんだから。


相手を『人間じゃない』なんて考えるから『得体のしれない生き物』に見えるんじゃないの?。でも、現実にはそうじゃないよ?。相手は人間だよ?。どんなに現実を見ないようにしてても人間は人間を生むんだ。人間から生まれてくるのは人間なんだよ。『人間じゃないもの』を生むのは、『人間じゃない何か』だ。


何度も言うけど、人間の子供は『知識や経験が不足してるから上手くできないだけの人間』なんだよ。それ以外のものじゃ有り得ない。



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