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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千九十五 役童編 「十八歳で成人として」

三月二十三日。水曜日。曇りのち雨。




ところで、四月から十八歳で成人として認められるらしいけど、これは、『早く大人になりたい』と願う千早ちはやちゃんにとっては朗報なのかもしれないね。


だって、母親の承諾がなくても自分のことを自分で決められるってことだから。


同時に、いろいろ大きな責任を負うことになるわけでもあるから、その辺りについても沙奈子にもちゃんと伝えておかなきゃいけないと思う。


成人する直前になって本人があれこれ調べるんじゃなくて、今のうちからね。


「沙奈子、成人したら自分の意思で何でも決められるようになるけど、逆に、何か騙されたりして契約とかさせられたりとかしても、親がそれを取り消すことができなくなるんだ。だから気を付けてほしい」


って言ったら、


「うん。分かってる。お父さん。でも、何か決める時は誰かに相談してからにする。私、まだそんな世の中のこと分かってないから……」


と言ってくれた。


沙奈子の自立の邪魔をするつもりはなくても、だからといって『成人したからもう関係ない』というのは違うと思うんだ。ましてや、もし、老後に子供の世話になるつもりならなおさら。


だってそうだよね?。親はもう成人して自立してるんだよね?。しかも、子供に対しては『成人したんだからもう自分で勝手に生きろ』みたいに突き放しておいて、いざ自分が歳を取ったからって子供を頼ろうなんて、ムシが良すぎると思うんだけどな。


僕は、老後の世話をしてもらおうとは思わないけど、沙奈子が成人したからって『もう関係ない』なんて言うつもりもないよ。いくつになったって沙奈子は僕の娘で、僕は沙奈子の父親なんだ。だから、必要と思えば力も貸すし助けもするよ。僕の大切な娘だから。


だけど同時に、必要のない干渉はしないでおこうとも思ってる。それはよくないとも思うんだ。押し付けはしたくない。


それは沙奈子の人格を蔑ろにする行いだからね。


なるほど僕の両親は僕の人格を尊重するどころか人間扱いさえしてくれなかったけど、だからってそれと同じことをしたいとは思わないんだ。だって、『自分の親がそうしてたから自分もそうする』なんて、完全に『親の所為』にしてるだけだし。


親から学んだことを活かすのは大切だと思う。その一方で、好ましくないことだと分かってる行いを『自分の親もこうしてたから』なんて理由でやめないというのは、『親の所為にしてる』以外の何だって言うの?。


だから僕は、僕の両親がやってたことはやらないようにしたい。自分の子供を人として扱わなかったり、貶めるなんてことはね。



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