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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千八十九 役童編 「厨房を残しておいて」

三月十七日。木曜日。晴れ。




クリーニングに出した制服を取りに、沙奈子と千早ちはやちゃんと結人ゆうとくんは出掛けていった。


何でもかんでも親任せにするんじゃなくて、自分のことは自分でできるようにならなくちゃと。もっとも、それを言いだした千早ちゃん自身は、お母さんにしてもらってたんじゃなくて山仁さんにしてもらってたんだけどね。


だからこそ、自分でできるようにならなくちゃという意味もあったらしい。そしてそれに沙奈子も結人くんも賛同したってことだよね。


その考えは立派だと思うんだけど、『実の親があてにならないから』『山仁やまひとさんに迷惑を掛けたくないから』というのがすごく残念に思えてしまう。特に『実の親があてにならないから』というのは、親として誇れること?。一人前の人間と見做されてないのと同じだと思うんだけどな。


自分の子供から。


そうじゃなくて、


『自分もお母さんやお父さんみたいになりたい』


って思ってもらえたからこそ『自分でやってみよう』ってなったんならそれはいいことだと思うんだけどな。


なのに、自分が大人として一人前だと思われてないから子供からあてにされてないだけなのを、


『子供が自分でやってくれたら楽でいいや』


みたいに考えていたらそれこそどうなんだろう……。自慢できることなの?。大人として。


僕はまったくそうは思えないから、千早ちゃんの行動力には感心しつつも、同時に寂しさも覚えてしまった。


だけどそんな僕とは関係なく、千早ちゃんは『人生部』の活動に力を入れてる。今日も、うちの厨房で昼食と夕食を作って頑張ってるんだ。


ちなみに、玲那とイチコさんと田上たのうえさんの、


「オムライス」


「私もオムライス」


「ペスカトーレ」


お昼の注文にも応えたりもしてる。しかも、実際にレストランというていで。


沙奈子が、


「オムライス、二。ペスカトーレ、一。注文入りました」


ってオーダーを伝え、


「オムライス、二。ペスカトーレ、一。注文、承りました」


千早ちゃんが応えて、


「沙奈はペスカトーレをお願い!。結人は沙奈のサポート!。鍋で湯を沸かして!」


「はい」


「おう!」


沙奈子と結人くんに指示を出しつつ、自分はオムライスの用意をして。沙奈子はホールスタッフとキッチンスタッフの兼役だ。


さらに、自分たちの食事と、僕と絵里奈の食事も、注文を受けたっていうていで作っていく。今回もケーキ屋じゃないけど、『仕事として厨房に立つ』というシミュレーションだよね。調理道具は毎回熱湯をかけて消毒するという衛生を意識した作業手順等の守るべき決まり事、お客から承った仕事を丁寧にこなすという実践経験を積むためにね。


中華料理屋だった時の厨房を残しておいて本当によかった。



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