表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2082/2601

二千八十二 役童編 「親がこうしてたから」

三月十日。木曜日。晴れ。




『人を人とも思わない考え方』は、役童強馬えきどうきょうまの事件にも絡んでくるんだと思う。役童強馬は、山間の集落で差別的な扱いを受けてた人の家に生まれて、そして彼自身も人間として扱われなかったらしい。


けれどその集落ではそれが『常識』で、そんな扱いをされるのも当たり前ってことだったって。


役童強馬自身もそんな『常識』をそれこそ生まれた時から植え付けられてきて、ある意味では受け入れてしまっていたみたいだね。だけどそんなことが本当に上手くいくわけなくて、とうとう限界を迎えたことで『七人殺し』という事件が起こってしまった。


僕はそういうことからしっかりと学びたいんだ。『人を人とも思わない考え方』が何をもたらすのか。


代々、役童強馬を含む人たちを虐げてきたことでその集落は上手くいってたと言う人もいるかも知れないけど、でも、結果として『七人殺しの役童』を生み出したことはまぎれもない事実だよね。何代にも亘って蓄積されてきた怨念がそれをもたらしたってことじゃないの?。


なのに、『それまでは上手くいっていた』なんてよく言えたものだと思う。それまではつまり、『七人殺しの役童を生みだすためのただの布石』でしかなかったんじゃないの?。


これまでにも、同様の事件はあったみたいなのに、どうしてそこから学ぼうとしないんだろう。


玲那のだって、結局はそういう事件の一つだったはずなのに……。


結人ゆうとくんの場合も、実のお母さんに殺されていたかもしれないけど、もしそこで殺されていなかったら、やっぱり同じような事件を起こしてた気がして仕方ない。


僕だって、事件こそは起こしてないけど、両親が死んだことについては一ミリも悲しくなかったどころか、『死んでくれてよかった』とさえ思ってしまったよ。『親を尊敬する』とか『親に恩を感じる』とかっていう綺麗事なんて、僕にはなんの値打ちもないただの茶番だった。ドラマとかでそんなシーンを見ても、まったく何一つ響かなかった。ただただ嘘くさくて白々しくて寒々しくて、馬鹿馬鹿しい以外の何物でもなかったんだ。


僕を人として扱うことさえなかった人たちを、どうして敬わなくちゃいけないの?。


だけど同時に、自分の親がそうだったからって、両親がやってたことをそのまま僕もやろうとは思わない。『親がこうしてたから』って親の所為にして同じことをしようとは思わないんだ。


自分が親にちょっとしたことで苛々してきつい言い方をされたからってそのまま他の人にそういう態度を取る人って、『親の所為』にしてるよね?。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ