表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2079/2601

二千七十九 役童編 「穏当に接する」

三月七日。月曜日。曇り。




スーパーに買い物に行った時とかに子供に対してやたらと威圧的だったり面倒臭そうに接してる親を見てると、それで子供がぐずったりしてるのを見てると、


『ああ、子供をちゃんと一人の人間と見て接してないんだな』


って分かってしまう。だからといって偉そうに口出しするつもりもないし、そんなことをしても『変な奴』『お節介な奴』と思われるだけなのは分かってる。だからあくまで、


『僕が沙奈子や玲緒奈れおなに対してそんな風に接したら、どんな反応するかな……?』


と考えるんだ。そしたら、沙奈子は委縮してしまって僕を怖がるだろうし、玲緒奈は癇癪を起してギャン泣きするだろう。はっきりとその実感がある。そんな接し方をしてて沙奈子や玲緒奈が何を学べるっていうの?。


『人間は威圧的で一方的に自分を従えようとする存在』だというのを学ばせるの?。人間なんてそんなものだって。


だったら自分も攻撃的になるか、逆に人間とはなるべく関わらないようにしようってなるんじゃないの?。それが人間として正しい在り方なの?。


僕にはまったくそうは思えないんだけどな。


親は子供に、『人間との接し方』を教える義務があると思うんだけどな。それは口で言っても伝わりにくいものでしかないから、結局は実際に子供の前でやってみせるのが一番だと思うんだけどな。


今の玲緒奈には言葉で説明してもうまく伝わりそうな実感はまったくない。だけど、彼女の前で、彼女に対して、『人間としてこんな風に接するんだよ』とやってみせれば、それを手本にして学んでいってくれると思うんだけどな。


もちろん、幼いうちは上手くできないと思う。言葉が話せるようになったって大人ほどは語彙もないし言葉の使い方も巧くないのと同じで、小学校の高学年くらいになってようやく効果が見え始める感じかもしれない。


でもその一方で、山仁やまひとさんが示す手本をしっかりと見て育ったイチコさんや大希ひろきくんは、保育園に通ってた頃から、他の子に対して乱暴な接し方はしなかったそうだし、他の子から力尽くでおもちゃを奪ったりすることもなかったって。お菓子が配られたりする時も、我先にと群がったりせずに順番を待ってたそうだし。ちゃんと人数分用意されてるのは分かってるから焦らなくても大丈夫だって分かってたんだろうな。


『他の誰かに対して威圧的に横柄に接するというやり方を学ばなかった』


ってことなんじゃないのかな。幼い子供は未熟だからまだまだ上手くはできない。感情のコントロールもそう。だからこそ親がそれを手本として『自分以外の誰かと穏当に接する』ことを示す必要があるんだって、沙奈子と玲緒奈を育てて実感したよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ