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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千七十八 役童編 「同年代の子供」

三月六日。日曜日。曇りのち雨。




今日も、玲緒奈れおなをベビーカーに乗せて、散歩に出る。雨が降ってるからベビーカーにはカバーを掛け、そして僕はレインポンチョを着て歩く。傘だと片手が塞がってしまうから、咄嗟の時に対処できない気がするし。


「ぼあぼあ!。ぶんどど、ぶるぶる、あめーっ!」


しばらくカバーに落ちてくる雨をおとなしく見てたと思ったら急に謎の呪文を唱えつつばたばたと暴れてベビーカーをきしませる玲緒奈のパワフルさにはいつものことながら感心させられる。それもあって、両手でしっかりと掴んでないと危ないっていうのもあるかな。そして一通り暴れるとおとなしくなって、また雨をじっと見つめてる。


本当は公園とかで遊ばせてあげたいんだけど、今の状況ではやや心配だからまだそれはしてない。他の子と接する機会も作ってあげたいものの、うちには僕と絵里奈以外にも沙奈子と玲那がいるし、たまに千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんとも顔を合わせてたし、『自分以外の人間』というものについてはちゃんと分かってくれてると思う。ただ、『同年代の子供』と接する機会をあまり用意してあげられていないというのも事実かな。


それが今後どう影響してくるか分からないにしても、考えてみたら過疎の集落とかで育った子供も、そんなにいうほど同年代の子供と接する機会もなかっただろうし、それと同じようなものと考えればそんなに心配も要らない気がする。とにかく相手を自分と同じ人間として接することができればだいたい何とかなるんじゃないかな。


世の中には『コミュ障』と呼ばれる人もいるけど、僕や沙奈子や結人くんもそのタイプだとは思うけど、考えてみたらそれは本来、おかしいはずなんだ。だって、子供は最低でも親とコミュニケーションを取ってるはずなんだよ?。親は人間なんだから、その親とのコミュニケーションを基本にしてあとは多少の応用を加えるだけでいいはずだよね?。なのにそれができないって、どういうこと?。


自分と両親との関係を基にして考えてみると、分かる気がする。何しろ僕の両親は僕を『人間』と見做してなかった。『人間同士のコミュニケーション』を取ってこなかった。これは沙奈子や結人くんも同じ。人間扱いされなかったから、それを学ぶことができなかった。そして、フォローしてくれる人も周りにいなかった。


僕は大学に入って鷲崎わしざきさんと出逢うまで。沙奈子は僕のところに来るまで。結人くんは鷲崎さんと一緒に暮らし始めるまで。それぞれ人間らしいコミュニケーションを取ったことがなかったんだって分かる。


玲那も、絵里奈やかほりさんと出逢うまではそんな感じだったらしいし。


そういうことなんだろうな。



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