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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千七十七 役童編 「力を貸してくれる存在が」

三月五日。土曜日。曇りのち雨。




今日も雨が降り出したから水族館はやめておいて、沙奈子たちは『人生部』の活動に集中してる。星谷ひかりたにさんが用意してくれた『マニュアル』を基に、衛生管理や作業手順の順守といったことをちゃんと確かめようとしてる。その上で、いくつのケーキを作って、それがどれだけ売れて、どれだけのコストがかかってて、そしてどれだけの利益が出たか、仮想して計算するんだって。


「直径十五センチの五号サイズでざっと二千五百円。最低限、ケーキ屋だけで食べていけるようになるには一日平均で五万円、できれば六万円はほしいところなんだよね。だとすれば最低二十個。できれば二十四個売らなきゃだけど、一日でそんなに売れる?って気がしちゃうんだよ。


まあ、ホール買いしてくれる人はそんなにいないかもだから、カットしたのがそれだけ売れればいけるんだろうけど、一日平均ってのが曲者だよね。だって大雨の日とか大雪の日とかだと一個も売れないなんてこともあるだろうし、それ考えたら、コンスタントに五号サイズ三十個分近くは売れてくれなきゃって感じだと思う。


その点、『SANA』の商品はドレスだし通販が主だから日本全国、てか、今は外国からも注文入ってるんだっけ?だし、そういう部分は有利だよね。あと、ライバルが少ないっていうのも強みだって感じる。ケーキ屋なんて日本全国にどんだけあんの?。有名洋菓子店とかも含めたらライバル多すぎっしょ。だから正直、やってけんのかなって不安にもなるんだ」


ただただ漠然と夢を見てるだけじゃなくて、ちゃんとそうやって具体的に考えられてるのが千早ちゃんのすごいところだと思う。だけどそれも、星谷さんがそういう具体的な数字でシミュレーションしてくれるから、千早ちゃんも考えやすいんだろうな。


そうなんだ。夢を実現させるには、ただの空想じゃなくて現実に則した対応が必要になってくる。それなしじゃ空想どころか妄想で終わってしまう。空想を現実の形にする力が求められるんだ。それには大変な労力と手間とお金がかかると思う。そんなのを個人で実現できるものなのかな?。千早ちゃんには星谷さんがいてくれるように、力を貸してくれる存在が間違いなく必要なんだ。そういう助けまで全部自分だけの努力でやってのけたと考えるのは、やっぱり思い上がりなんじゃないかな。千早ちゃんは星谷さんに対して感謝の気持ちを持ってるのは伝わってくるけど、力になってくれた誰かに対して感謝しない人は、僕は尊敬できないな。


沙奈子や玲緒奈にはそういう人にはなってほしくないと思う。



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