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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千七十四 役童編 「すぐ身近で見た」

三月二日。水曜日。曇り時々雨。




今日もなんだかあたたかい。天気はすぐれないけど、どうせほとんど家にいるから関係ない。大希ひろきくんは今日も山仁やまひとさんに付き添われて学校に行ったそうだ。もしかするとこのまま高校までこの調子で行くことになるとしても、それはそれでいい。長期戦になることはもうみんな覚悟してる。ほんの短期間でスパッと簡単に気持ちを切り替えられるなら、人生はどんなにか楽だろう。


『簡単には気持ちは切り替えられない』なんて、自分自身を振り返ってみたら分かるはずだよ?。どんなに、


『ネット上で他の誰かを罵るのは好ましくないことだ!』


って言われても、それがなぜ好ましくないことなのかを長々と説明されても、『ネットは異世界じゃない。現実世界と地続きの、現実世界の一部なんだ』って言われても、『はい、分かりました』って納得できない人が多いよね?。それと同じだよ。なのに、自分はそうやって事実を事実として認められないのに、他の誰かには『今すぐ認識を改めろ!』とかどうして言えるの?。自分のことを棚に上げて。僕にはそれが理解できない。そして理解できないからこそ、面と向かってあれこれ言わないんだよ。相手が納得できるような説明ができる自信がないから。現に、面と向かって言われてもまったく認識を改めない人を散々見てきたから。


それができるなら、千早ちゃんのお母さんだって、波多野さんのお兄さんだって、田上たのうえさんのお母さんや弟くんだって、今頃とっくに認識を改めてると思う。千早ちゃんがどうしてあんなに変われたのかを気にするだろうし、波多野さんのお兄さんだって自分がどれほど世間から嫌われてるか疎まれてるか理解できるだろうし、田上さんのお母さんや弟くんだって、周囲の人が自分をどう見てるかっていうのを気にすると思うのに、まったくそれがないからね。


特に千早ちゃんのお母さんは、千早ちゃんに関するほとんどのことを山仁やまひとさんに丸投げしたままで、お小遣いすら山仁さんが渡してて、電動アシスト自転車まで買ってもらってて、なのにそれに対してお礼の一言すらないんだ。そういう人をどうすれば変えられるって言うの?。


『殴ればいい』って言う人もいるかも知れないけど、そんなことが無意味なのを、僕たちは思い知らされてきたよ。殴られてその場では心折れても、やがて恨みを募らせて、『腕力じゃ勝てないなら武器を使ってって形で復讐する』っていう事例を、すぐ身近で見た。


玲那が起こした事件がまさにそれだよ。他にも、腕力じゃなくて権力とかって形で打ちのめされたのを、オリンピックの代表候補にもなるような『柔道の技』で復讐したのが、役童強馬えきどうきょうまだから。



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