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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千七十一 役童編 「彼の正直な気持ち」

二月二十七日。日曜日。曇り。




『新型コロナウイルス感染症』の件については、いつもの大型スーパーに入ってたお蕎麦屋と薬局が立て続けに従業員に感染者が出て、臨時休業になった。これまで、気を付けながらもどこか他人事な印象があったのに、こうして身近で『新型コロナウイルス感染症で臨時休業する店』が出てくると、さすがに何とも言えない気分になる。


しかも、今日も『人生部としての活動』をうちの厨房でしてた千早ちはやちゃんが、


「うちの学校でも、塾がそれで一時閉鎖になったって言ってるのがいたよ。学校ではまだ感染者は出てないけど、ちらほら、『親戚が感染した』みたいなのもいるね」


って言ってた。学校での友達がそれなりにいる千早ちゃんならでは情報網だった。その点、沙奈子や結人ゆうとくんは学校には友達と言える子があんまりいないから、そういう点では負けてるかもね。だけど千早ちゃんが交友関係を広げる中で、やっぱり嫌な思いをすることもあるらしい。彼女に近付いてくる子の全員が全員、気遣いができる子ばかりじゃないから。でも、そうやって嫌な思いをしても、沙奈子が傍にいてくれれば耐えられるそうだ。沙奈子が癒してくれることで。


そんな風にお互いを補い合ってるのが、沙奈子たちの関係なんだ。結人くんはさしずめ『ボディーガード』なのかな。結人くん、決して大柄な子じゃないんだけど、何とも言えない雰囲気を持ってて、彼のことをよく知らない人からすると『怖い』らしくて。その所為もあって学校では割と避けられてるそうなんだけど、本人は煩わされないで済むからそれでいいと思ってるみたいで。


なにより、沙奈子や千早ちゃんや大希くんが彼を理解してくれてればそれでもう事足りるみたいだね。


ただ、逆にそれが事情を知らない子たちには不思議らしくて、特に沙奈子と結人くんが親し気にしてるのを見ると、『変なカップル』と思われていると千早ちゃんが。それに対して、


「大きなお世話だってんだよね~」


「てか、俺は別に山下と付き合ってるわけじゃねえぞ」


と、千早ちゃんと結人くん。と同時に、結人くんも実はまんざらでもなさそうだったり。彼はすごく不器用だけど、攻撃的なのはあくまで自分より強そうだったり立場が上だったりする相手にだけで、沙奈子に対しては『気遣いの人』なんだ。それが、以前、沙奈子に怪我をさせてしまったりしたことに対する負い目からくるものでも、彼の正直な気持ちには違いないと思うし。


彼も結局、普通の環境に育ってればぜんぜん違ってたんだろうなって気がする。



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