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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千七十 役童編 「工夫ができてるのも」

二月二十六日。土曜日。晴れ。




入学手続きも終えられて、後は制服を受け取ったりという形でいくつかの準備が残ってるだけで、おおむねすることを終えられた沙奈子たちは、水族館に行くことになった。


とは言え、ここまでずっと通い続けて、沙奈子には『海の生き物をモチーフにしたドレスを作りたい』という具体的な目的があるからいいんだけど、しかも行くたびに新しい発見があるそうでまったく飽きないそうだけど、さすがに千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんはかなり飽きてきてて、沙奈子がスケッチとかしてるのを見守りながらスマホでゲームをしてたりって感じだって。


だけど、水族館までは付き合ってくれるんだから本当にありがたいと思う。ただ、やっぱり大希ひろきくんは自宅で休んでる。


千早ちゃんと結人くんにも、


「もし他にしたいことがあったら無理に沙奈子に付き合う必要はないんだよ。沙奈子ももう、一人でも大丈夫みたいだし」


って僕が言うと、


「いやあ、私らは好きで付き合ってるだけですんで」


「悪い奴はどこにいるか分からないしな」


だって。本当に沙奈子のことが好きなんだなって伝わってきて、じんとなる。出逢ったばかりの頃には決していい印象のなかった二人でありつつ、今はこうして沙奈子にとって一番の友達になってくれてることが本当に嬉しい。その一方で、二人とも、あんまり『遊び』は知らないらしいんだよね。カラオケとかゲームセンターとかくらいしか知らないし、昨今の情勢を鑑みて、水族館以外にはあんまり行かないようにしてるっていうのもあるし。


それに外出するとなると必ずマスクを着けていくことになるから、素直に楽しめないって。


確かに、僕はあまり出歩いて遊ぶのは好きじゃないから家に閉じこもってても割と平気だけど、玲緒奈れおなの散歩や買い物に行くだけで十分に気分転換になってるけど、そういう人もいて当然だよね。今回のことが始まってもう一年以上。なんとなく下火になりかけた時期もありつつもまたぶり返したりと、いろいろ想定が甘かったみたいだね。まだ数年間、この調子が続くことになりそうだ。だから僕たちはもうそのつもりで淡々と過ごすことにする。


千早ちゃん主導で始めることになった『人生部』の活動も、結局はあまり外に出歩かなくても楽しめるようにっていう狙いもあるそうだし。学校での部活じゃないから、万が一休校とかになっても関係ないし。


それぞれそういう形で工夫ができてるのもすごいと思う。なんでも自分の思い通りにいくわけじゃないってことを理解してて、じゃあ、その中でどうすればいいのか?。っていうのをしっかりと考えられてるんだ。



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