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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千六十九 役童編 「石生蔵家としては」

二月二十五日。金曜日。晴れ。




沙奈子たちが高校に合格して、早速、手続きを始める。しかも沙奈子も千早ちはやちゃんも結人ゆうとくんも、そして大希ひろきくんも、自分で学校に出向いて自分で手続きをすることに。僕も絵里奈も鷲崎わしざきさんも山仁やまひとさんも、保護者として必要な書類とかを用意するだけだ。


『私は保護者として、貴校に通わせるに相応しい素行を維持するように指導監督することを誓います』


という宣誓書にサインしたりしてね。


あと、うちは絵里奈が職場復帰したことで給与も満額もらえることになって問題ははないんだけど、千早ちゃんについては、進学及び在学中にかかる費用については全額、星谷ひかりたにさんが立て替えることになった。それは貸与型の奨学金と同じように、千早ちゃんが高校を卒業してから毎月返済していく形になる。と言っても、実際には仕事を始めるまで返済開始は猶予してもらえるらしいけど。でないと、返済できるあてがないからね。大学に通うことになればその分の学費も星谷さんが出してくれるそうだし、ケーキ屋の開業も含めて、星谷さんがすべてバックアップしてくれる。


これもやっぱり、千早ちゃん自身だけの『努力』じゃないよね?。星谷さんがいてくれればこそのものだよね?。もちろん、千早ちゃんが星谷さんにとって、


『支援してもいいと思える相手』


だからというのも確かにあるから、そう思ってもらえる子でいられてるというのは千早ちゃん自身の努力ではあっても、それでも星谷さんと知り合っていなければここまでのことはなかったはずなんだ。そもそも星谷さんと知り合っていなかったら、今の千早ちゃんはなかった可能性も高い。なにしろ、彼女のお姉さん二人こそがまさに、


『星谷さんと出逢っていなかった千早ちゃんの姿』


そのものだって気がするし。高校にさえ通わず、中学卒業と同時にパン工場のパート勤めをして、だからね。


それが悪いと言ってるんじゃない。そういうのも人それぞれだから。世の中の誰が『中卒でパート勤め』なことを馬鹿にしたとしても、僕はそれを馬鹿にするつもりはないんだ。少なくとも真面目に働いているなら、それだけで立派だと思う。


家でも、自分たちと違って高校に進学することができた千早ちゃんを妬んでどうこうっていうのもないって。ただ、食事の時以外は顔を合わせないようにしてるだけで。自宅に個室がないから、ひたすら言葉も交わさずにスマホをずっといじってる感じで。


正直、残念には思うけど、それでバランスが取れているなら、石生蔵いそくら家としてはいいんだろうな。



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