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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千六十四 役童編 「それが伝われば」

二月二十日。日曜日。曇りのち雪。




今日も沙奈子たちは、一階の厨房で<ケーキ屋のシミュレーション>を行ってた。と言っても、毎日毎日ケーキを作るわけにはいかないから、それ以外の料理だけどね。その上で、『毎日の衛生管理』と『作業工程の遵守』と『業務終了後の徹底した清掃』といった部分について、同時に『コスト管理』とも絡めながら意識して行ってるって。


これらも千早ちはやちゃんが言ってた『人生部』の活動の一環だそうだ。もうすでに『人生部』は始まってるんだよ。


『自分の人生をどう生きるか?』というのを部活動形式で考えていくための活動。


ここまでのことができるのも、今までの積み重ねがあってこそのものだよね。そしてこれを思い付くきっかけを作ってくれたのも、山仁やまひとさんや星谷ひかりたにさんだと思う。


それで言うと、大希ひろきくんの躓き自体が、『人生部としての活動』の一環になってる気もする。自分が躓いた時、身近な誰かが躓いた時、それとどう向き合うか?というのを実地で学んでるんだろうな。


こうして実際の経験を活かすことが大事なんだろうな。


千早ちゃんが言う。


「じれったいのも本音だけど、なんか焦っちゃうときもあるのも本音だけど、『急いては事を仕損じる』って言葉もあることだし、今はじっくりとやらなきゃいけないんだって思うようにしてるんだ」


まだ中学生なのにそこまで考えられる彼女を、僕は本当にすごいと思う。彼女のつらい経験がちゃんと活かされてるって感じる。自身のつらい経験をちゃんと活かせるような環境を用意してあげられてたんだって気がする。


そんな千早ちゃんと比べると、大希くんは確かにまだ『あどけなさ』を感じるのも事実かな。利口だし聡明なんだけど、やっぱり千早ちゃんに比べると幼い印象もあるんだ。そういう部分も、大希くんは、


『負けてる』


『自分は劣ってる』


『そんな自分が許せない』


って感じてしまうのかもしれないな。そんな風に考える必要はないはずなんだけど、周りがしっかりし過ぎてるから焦りがあるんだろうな。


焦る気持ちについては尊重しつつも、今はまだ、『そんな自分が許せない』ってことに拘る必要がないというのも理解してほしいかな。


沙奈子や千早ちゃんや結人くんが逆に例外なんだよ。大希くんはむしろ普通なんだ。焦らなくていいし慌てなくていい。それが伝わればいいんだけど、なかなか上手くはいかないね。その『なかなか上手くはいかない事態』に大人がどう対処するかというのも、大事な『手本』だと思う。それを疎かにしてたら、『なかなかうまくいかない事態にどう対処すればいいのか?』を子供が学べないから。



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