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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2052/2601

二千五十二 役童編 「努力って言えるの?」

二月八日。火曜日。晴れのち雨。




『自分の力だけで今の自分になれたわけじゃない』


僕は今、それをものすごく実感してる。僕が今の僕になれたのは、僕自身の努力だけのおかげじゃない。沙奈子がいて、絵里奈がいて、玲那がいて、千早ちはやちゃんがいて、大希ひろきくんがいて、結人ゆうとくんがいて、山仁やまひとさんがいて、星谷ひかりたにさんがいて、イチコさんがいて、波多野さんがいて、田上たのうえさんがいて、鷲崎わしざきさんがいて、喜緑きみどりさんたちがいて、そして塚崎つかざきさんがいて、それで今の僕があるんだよ。


その事実は誰がなんと言おうと揺るがない。僕がした『努力』は、今の僕になれた要因の一つでしかないんだ。それだけで何とかなったんじゃないんだ。


だから僕は、沙奈子に対しても玲緒奈れおなに対しても、そして千早ちゃんに対しても大希くんに対しても結人くんに対しても、


『努力さえすればどうにでもなる』


なんて『夢物語』を語るつもりはないよ。沙奈子も千早ちゃんも大希くんも結人くんもここまで大変な努力をしてきたと思う。それと同じ努力をできた人がどれだけいるって言うの?。だけど、それでもすべてが上手くいくなんて保障はどこにもない。どこにもないんだ。


もう今の時点で『SANA』に就職できる目途は立ってて、千早ちゃんだってケーキ屋を起業するのは星谷さんのサポートで決まってってしてるけど、『SANA』を立ち上げたのもケーキ屋の支援をしてくれるのも星谷さんなんだよ。星谷さんがいなければ、たぶん、今の状況はなかった。そして、『自宅学習』だって星谷さんが指導してくれたんだし、今でこそその場所を提供してるのは僕と絵里奈だけど、元々は山仁さんが提供してくれてた。


それがあってこその今なんだ。沙奈子たちは『努力できる環境』があったからこそできたんだよ。世の中には、子供が勉強する機会さえ奪う親もいるそうだね?。玲那の実の両親がまさにそうだった。小学生だった彼女に『売春』を強いて勉強する時間なんか与えなかった。そこまでじゃなくても、自分の遊びにお金を使ってしまって、子供が望んでも塾にも通わせない親もいるよね?。そうやって『塾にも通わせてもらえなかった子供』と『塾に通わせてもらえた子供』が同じ条件で競い合えると思うの?。


確かにうちも山仁さんも『塾』には通わせなかったけど、それを補って余りある存在、星谷さんがいたんだ。これは、沙奈子や千早ちゃんや大希くんや結人くんがした努力って言えるの?。星谷さんがいたことは、沙奈子たちの努力なんかじゃないはずだけどな。


そして、『自分の努力だけでなんとかしてきた!』とか言って、山仁さんや星谷さんに対して感謝の気持ちも示さないような人に、なってほしくないだけなんだ。



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