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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五十一 役童編 「認めないような人に」

二月七日。月曜日。晴れ。




いよいよ入試前の最後の週。来週水曜日には入試だ。だけど、沙奈子たちも僕たちも、いつもと変わらない一日を過ごす。気楽に受けに行っていつもやってる模試と同じ様にやれれば十分に合格できるだけの準備をしてきたし、それ以外にもうできることなんてない。『神頼み』もしない。神頼みをしなきゃいけないほどの理由もない。その上で、出た結果を受け止めるだけだ。


もし万が一、何らかのミスがあって試験が駄目だったとしても、『高校に行くこと』自体は目的じゃないから、何も問題はない。高校に通うのは、


『自分の将来をより良いものに作り上げていくための手段の一つ』


でしかないし、そしてその『手段』は決して一つだけしかないわけじゃない。それが駄目でも他にも手段はあるんだ。これまでと同じように『家庭学習』で勉強をすれば、『高卒認定』を取ることだってできると思う。大学に行って何かを学びたいならそういう方法だってある。


確かに、『高卒認定』を取れても実際に高校を卒業したわけじゃないからそれだけじゃ『中卒』という学歴のままだけど、実際に大学に通ってちゃんと卒業しなきゃ中卒ってことになってしまうけど、『SANA』で働く分にはそれは何の障害にもならない。『SANA』にとって必要なのは、


『沙奈子のドレス作りの才能』


であって、『沙奈子の学歴』じゃないんだ。そしてそれは、千早ちはやちゃんの場合は、ケーキ屋を営む上で必要な資格を取るためには大学か専門学校に通った方が何かと都合がいいんだろうけど、必要とあればそれができるだけの能力はすでにあると思う。結人ゆうとくんも『SANA』に就職するなら学歴は関係ない。


大希ひろきくんの場合も、『SANA』に就職するなら結人くんと条件は同じだし、千早ちゃんが言ってるように彼女のケーキ屋に勤めるなら、必要な資格とかを取るための能力は十分にあるはずなんだ。


『勉強さえしてればどうにかなる』


部分についてはもうすでにほとんど済んでるんだよ。毎日の『自宅学習』でね。大希くんもそう。これが『努力』じゃなかったら、何が努力だって言うの?。


そして、沙奈子や千早ちゃんや大希くんや結人くんがその努力をできる環境を作ってくれたのは、山仁やまひとさんだし星谷ひかりたにさんなんだよ。沙奈子たちの力だけでできたことじゃない。


世の中には、


『自分の力だけで今の自分になれたわけじゃない』


っていう事実を認めたくない人もいるらしいけど、それって、自分が今の自分になれるように力になってくれた人たちのことを少しも敬ってないよね?。


本当にそれでいいの?。僕は、沙奈子に、山仁さんや星谷さんのおかげで今があることを認めないような人になってほしくはないけどな。



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