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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四十五 役童編 「焦って急いで面倒臭がって」

二月一日。火曜日。晴れ。




大希ひろきくんの躓きは、思わぬところで副次的な効果を出したらしい。千早ちはやちゃんが星谷ひかりたにさんに意見できるほどに成長するきっかけになったっていう。


元々、千早ちゃんは星谷さんに対してちゃんと自分の思ってることを口にできる子だった。そういう関係を築けてた。だけどどうしても星谷さんが千早ちゃんを導く形だったのは事実だと思う。それが、忙しくてしばらく傍にいられなかった星谷さんの代わりに大希くんのことを傍で見てきた千早ちゃんがしっかりと考えて意見を口にできたんだ。


「千早……。立派になりましたね……」


星谷さんはそう言って感慨深げに、千早ちゃんを見詰めてた。


そして星谷さんに対して、


『ヒロのことは私が近くで見守ってるから』


『ヒロのことを信じて待っててよ』


と啖呵を切ったことは、千早ちゃん自身にとっても、大希くんに対して冷静に対応するための心構えになったみたいだ。


「ピカえにああ言ったんだから、私もヒロのこと信じないとね。私は私のことをちゃんとしなくちゃって思う」


だって。そしてそれは、沙奈子にも影響したみたいで、


「私も、ヒロのこと信じる……」


って言ってくれた。


そんな二人を見て、結人ゆうとくんも、


「あいつはそこまでヤワじゃねえよ。無茶苦茶ガンコで引かねえ奴だ。腹を括れたらケロっとしてるだろ。まあ、ガンコだから『自分のことが許せねえ』ってなったら簡単にゃ自分を許さねえんだろうけどな」


だって。


なるほどと思った。頑固だからこそ『自分自身が許せない』となったらそれを変えることがなかなかできないんだ。すごく彼のことをよく見てると感じた。僕たちが思ってる以上に、みんな大希くんをちゃんと見てたんだな。


『友達』として。


もちろん、まだ子供だから、『自分のお祖父さんが元死刑囚』なんていう大変な問題を大希くんと一緒に背負えるとは思えないけど、そういうことに具体的に対処できるだけの人生経験は積んでないはずだけど、だからまだその件については明かしてないけど、今回の件がまさにその『経験』になるかもしれないな。


そうだよ。『経験』というのは、実際に自分の前に訪れたものに対処することで積んでいくもののはずなんだ。大希くんの躓きを傍で見ることで、沙奈子たちにとってもその躓きをどう乗り越えていくかというのを実地で学ぶ機会になると思う。


だからこそ、丁寧に対処しなきゃ。焦って急いで面倒臭がって適当に簡単に済ませようとする大人の姿を見せちゃダメだと思うんだ。



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