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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四十四 役童編 「私のケーキ屋でヒロを」

一月三十一日。月曜日。晴れ。




確かに、『家族じゃないからこそ客観的に見られる』ということだってあるとは思う。だけど今回の件は、やっぱり、


大希ひろきくんが実際に今までの自分自身を乗り越えて成長できるか?』


ってことが大事だから、大希くんのことを最もよく知ってる山仁やまひとさんが支えるのが一番なんだと思うんだ。ここで山仁さんが示してくれるヒントを基に大希くん自身が答を掴み取ることが成長のきっかけになる気がする。


イチコさんを見てても分かるけど、山仁さんはいつまでも自分の下に置こうと思ってるわけじゃないんだよ。一人暮らしとかしたいならしても構わないと言ってくれてるし。ただイチコさんが、


「私が家を出ても、『お荷物の世帯が増えるだけ』だよね?。それじゃダメなんでしょ?」


って言って出て行かないだけなんだ。それに今のところ、


「結婚したいって思える相手もいないし」


だって。


イチコさんは自分で選んで自宅に残ってる。でも同時に、


「ま、機会があれば一人暮らしもしてみたいかなって思ってる」


とも言ってるんだよ。それに家でも、基本的には自分のことは自分でしてるそうだし。ご飯も自分の分は自分で用意してるって。自分のことを自分でできる人が、あくまで合理性を重視して敢えて自宅に残ってることの何が問題?。


大希くんだって、料理は自分でできるし掃除もできるし洗濯だってできる。中学生でそこまでできたら大したものだと思う。ただ、目標とか目的とかなりたいものが見付けられてないってだけで。


だから本当に千早ちゃんが言ってたみたいに『図太く』なれれば解決する問題なんだろうなって気がする。でもやっぱり、そこで図太くなれないのが大希くんなんだろうな。いずれは図太くもなるのかもしれないけど、今のところはそれを思い悩む時期なんじゃないかな。彼が成長するためには必要な躓きだって気がするんだよ。


そういうわけで、星谷ひかりたにさんに対しても千早ちゃんが、


「ヒロのことは私が近くで見守ってるから。ピカえはピカえの仕事をしてよ。今はさ。じゃないと、今のピカえじゃ、逆にヒロをダメにしそうな気がする。小父さんはヒロを支えてくれてるけど、ピカえはヒロと一緒にダメになってく気がするんだよ。だからさ、ヒロのことを信じて待っててよ」


改めて諭してくれて。


「信じて、いいんですね……?」


星谷さんは千早ちゃんにそう聞いて、千早ちゃんも、


「大丈夫だよ。いざとなったら私のケーキ屋でヒロをこき使うから」


はっきりとそう言ってくれたんだ。



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