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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2038/2601

二千三十八 役童編 「なんてことないさ」

一月二十五日。火曜日。晴れ。




今日も、大希ひろきくんは山仁やまひとさんと一緒に通学したそうだ。そして大希くんが心折れてる状態について、


「私の所為なのかな……」


今度は沙奈子がそんなことを言いだした。これも、沙奈子がすごく真面目な子だからこそだと思う。そうじゃなかったら、大希くんが心折れててもここまで気にしないだろうから。


真面目だからこそ、気にしてしてしまうんだ。だから僕は言ったんだよ。


「沙奈子……。そうやって大希くんのことを心配してくれる沙奈子のことはお父さんはとても誇りに思う。でもね、大希くんは沙奈子じゃないんだ。沙奈子とは別の人なんだよ。だから沙奈子が大希くんに与える影響は、沙奈子が思ってるほどは大きくないと思う。それに今回のことは、大希くん自身が、自分のやりたいことや目標を見付けられてないことを悔やんでのことだから、それこそ沙奈子には何の責任もないことだ。


それにさ、今回のことで沙奈子が気に病んでしまったら、大希くんはもっと自分のことが許せなくなってしまうんじゃないかな?。沙奈子から見た大希くんはそういうタイプの子じゃないのかな。だったら、沙奈子が今するべきことは、自分を責めるんじゃなくて、大希くんを信じて待つことだとお父さんは思うんだ」


僕の言ったことがどれだけ適切だったかは、自分でも分からない。だけど僕は、沙奈子の親として、自分の言葉に責任を持ちたいと思う。僕の言ったとおりにしたことでもし逆に大希くんを傷付けてしまったのだとしたら、それは僕の責任なんだ。そのことを忘れたくない。


僕は沙奈子の親であり、大人なんだ。沙奈子よりも大きくて重い責任を背負うことができる大人なんだ。沙奈子が背負ってしまいそうになってる責任感を僕も一緒に背負う。それは僕にとっては当たり前のことなんだよ。世の中の親の多くがそれをしなくても、僕はする。自分の選択に責任を負いたいから。


それに僕には、一緒に責任を負ってくれる絵里奈がいる。絵里奈も、


「そうだね。お父さんの言う通り。これは大希くん自身の問題であって、沙奈子ちゃんの問題じゃない。自分が大希くんを追い詰めたと考えるのは、それはむしろ思い上がりというものだとお母さんも思う」


と言ってくれた。


「……うん……」


僕と絵里奈の言ったことを沙奈子は必ずしも納得できたわけじゃない様子だった。でもこれも、一度で解決できることじゃないと思う。じっくりと時間を掛けて手間を掛けて、対処してくことだと思うんだ。


すぐに結果を出そうとするのは、むしろ『甘え』だよ。改めてそう思う。


それに、玲那の事件の時のことを思えば、なんてことないさ。



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