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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2036/2601

二千三十六 役童編 「データを集めるための試作品」

一月二十三日。日曜日。雨。




星谷ひかりたにさんは、義手や義足だけでなく、それこそ全身麻痺の人が自分の体と変わりないように使うロボットの開発も目指しているらしい。今はまだ自在に歩かせるところまでは行ってないから上半身だけのロボットだけど、いずれは自分自身の介護をそのロボットで行えることも目指してるって。そうすれば、家族の負担も減るだろうし、本人だって『家族に迷惑を掛けてる』という心理的な負担を減らすことができるんじゃないかな。


でもそうなると、今度は、改めて『家族に迷惑を掛けてる自分なんていなくなってしまえばいい』みたいなことを考える人も出てくるかもしれない。特に大希ひろきくんみたいなタイプだと……。だから星谷さんは、


「人間の意思に沿って稼働するロボットですけど、同時に、人間を傷付けようとする行いについては従わないようにしなければと思っています。私が開発したいのは、『兵器としてのロボット』ではないのです。だから人間を傷付けるような動作をする必要はありません」


なるほどと思った。体が不自由な人でも自分で自分のことができるようにするためのロボットがその人を傷付けたらなんの意味もないよね。


それと同時に、玲那の『声』を取り戻す研究も続けてくれてる。


そのための試作品がまた届いた。


「ほうほう、これはこれは。赤巻紙青巻紙黄巻紙。隣の客はよく柿食う客だ。うぇ~い!。チェケラッチョ!」


ポーズを付けながら玲那が『しゃべる』それを、星谷さんが開発してもらってるその機械は正確に再現してみせた。


「お~!。やるじゃん。これなら日常的な感じで使う分には行けそうだね。ただ、やっぱ、据え置き型っていうのはつらいかな」


そうなんだ。今回の試作機も、大きさはテレビゲーム機くらいあって、とても持ち運びができるようなものじゃなかった。普段使いできるようになるには、やっぱり気軽に持ち運びができるようなものにする必要があるんだろうな。


だからあくまで今回のも、いずれはそれを作るためのデータを集めるための試作品。でも、


「一階で仕事してる分には行けるかも」


ということで、『SANA』の事務所の玲那の机に設置することになった。ただ、今は仕事中はマスクをずっと着けてるからそういう意味ではどこまで使えるかは分からない。


それも含めて、物事というのはなんでも、一朝一夕にはいかないものだっていうのを改めて感じる。こつこつと時間を掛けて、なかなか先に進まないことを耐えて耐えて、それで結果を出すもののはずなんだ。何でもかんでもすぐに結果を得ようなんて、それは『我慢が足りない』っていうことだよね?。


大希ひろきくんのこともそうだと思う。彼が、内罰的自罰的な考え方に陥ってしまってることを怒鳴ったり叩いたりしただけで変えてしまおうなんて、『我慢が足りない人の考え方』だよ。



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