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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2034/2601

二千三十四 役童編 「彼には彼に適したやり方を」

一月二十一日。金曜日。雪。




『その図太さの十分の一でもヒロに分けてあげてほしいよ』


昨日の千早ちはやちゃんの言葉は、まさしくその通りだと思えるものだった。大希ひろきくんはもっと図太くなっていいんだと思う。彼は彼で頑張ってるし、沙奈子や千早ちゃんや結人ゆうとくんみたいに今の時点でやりたいことが見付かってないからってそれを気に病む必要なんてまったくないはずなんだよ。むしろ自分の勘張りを誇っていいと思う。


だけど、彼にはそれができない。結人くんも言ってた。


「俺の母親なんざ、おデブの金を持ち逃げした上に行方をくらましてるからな。図太いどころじゃねえだろ。大希は気にし過ぎなんだよ。でも、それがあいつなんだよな……」


そうだ。図太くなって、沙奈子や千早ちゃんや結人くんと同じようにできてないことなんて笑い飛ばしてしまえばいいはずなんだけど、それができないのが大希くんなんだ。


他の人と同じようにできないことを馬鹿にする人も多いけど、それを馬鹿にしてる人らは、他の人と同じようにできてるの?。僕は沙奈子を怒鳴ったり叩いたりしないけど、沙奈子はすごくいい子に育ってるよ。そしてこう言ったら、


『それはそいつが元々そういう性格だったからだろ!』


とか言うかもしれないけど、おかしいよね?。もし沙奈子がそういう性格だったから怒鳴ったり叩いたりしなくてもいい子に育ったのなら、それは『人によって違う』っていう何よりの証拠じゃないの?。


『元々そういう性格だったからいい子になった』のなら、『元々そういう性格だから人一倍気に病んでしまう』ことだってあっておかしくないと思うけど?。


とにかく何でも物事を自分にばっかり都合よく解釈する人は、なんでも簡単に済まそうとする。自分のやり方がいつだって上手くいくって考える。そんなわけないのに、上手くいかなかった場合を見て見ぬふりして。


僕たちはそんないい加減なことをするつもりはないんだよ。漫画やアニメやドラマみたいに、大した考えもなくその場のノリや勢いや感情任せにやったことが常に上手くいくなんて考えられたりしないんだ。漫画やアニメやドラマはそういう演出の方が面白いということでそうしてるだけだから。


大希くんは大希くんで、沙奈子や千早ちゃんや結人くんとは別の人間なんだ。だから彼には彼に適したやり方を考えなきゃいけないし、山仁やまひとさんは実際にそうしてる。イチコさんの時にはそんなに深刻に受け止めなかったからと言って、血の繋がった大希くんがイチコさんと同じだとも考えない。その当たり前のこととちゃんと向き合おうとしてるんだ。



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