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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2033/2601

二千三十三 役童編 「その図太さの十分の一でも」

一月二十日。木曜日。曇り。




沙奈子が通う学校では、今日までがテスト期間。だけどそれ自体は大したことじゃない。沙奈子たちにとっては課題をこなすのと変わらない気楽な作業なんだ。


しかも家に帰ってきたら、星谷ひかりたにさんが用意してくれた模試を受ける。そして自己採点をすると、余裕のA判定。結人ゆうとくんも、余裕とまではいわなくてもA判定が出たって。もちろん、千早ちはやちゃんも。


大希ひろきくんは自宅でそれを受けたそうだけど、そっちも、いつもよりは若干不調だったもののA判定だったそうだ。なんて言うか、日常的に当たり前にしてることだから、動揺しててもそんなに影響ないみたいだね。


何か特別なことをしようとしてる時に大きく動揺してたら影響も大きくなるだろうけど、ここまで何度も繰り返してきたことが力になってるみたいだ。


こういうのって、『努力』って言うんじゃないのかな。そうして努力してても、


『みんなと比べて自分だけが頑張れてない』


って感じてしまったりもする。これで大希くんは『努力してない』『頑張ってない』って言うの?。むしろ頑張ってきたからこそ、


『自分の頑張りが足りないのかもしれない』


と感じてしまうんじゃないの?。もし大希くんに対して『甘えるな!』とか言う人がいたら、その人は大希くんがやってきたようなことができてたの?って思う。


そういうことも含めて、僕たちは大希くんのことを受け止めてあげたい。


ああでも、今の彼には、そういうのも負担になるのかな。だから、


「あんまり気遣ってる風なのが見えても逆に負担になってしまうかもだから、僕たちは基本的にこれまで通りでいいと思うんだ」


玲那の休憩時間中に、ビデオ通話で、みんなにそう提案した。それに対して絵里奈も、


「そうですね。大希くんがこれまで頑張ってきてたのを、私たちは見てきてますからね。それを『自分は頑張れてないかも』って思ってしまってる彼に対して露骨に気遣うのは逆効果な気が私もします」


って言ってくれて、そこに玲那も、


「だよね。周りの優しさが逆につらい時もあるもんね。私も正直、事件の後で、パパちゃんの優しさがつらかったもん。『どうしてこんな優しい人に迷惑掛けちゃってんだろ』って思ったもん。あんまり白々しい感じになったらそれもどうかと思うけど、山仁やまひとさんに任せてる間は、私たちは普通にしてた方がいいかなって感じる」


だって。さらに千早ちゃんは、


「でもさ~、なんでヒロがそこまで気にしなきゃなんないんだよ。もっといろいろ気にしなきゃいけない奴っていんじゃん。うちの母親とかさ。ピカえや小父さんに自分の娘のこと丸投げしといてなんもなしだよ?。その図太さの十分の一でもヒロに分けてあげてほしいよ」


顔を見なくても分かるくらいに呆れた感じで言ってたな。



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